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ドンチャンコメディ×動物=未体験の笑い!映画『黒猫・白猫』

  

ユーゴスラビアが生んだ鬼才、エミール・クストリッツァ監督。

現在公開中の最新作『オン・ザ・ミルキー・ロード』が注目を集めていますね!

 

 

『オン・ザ・ミルキー・ロード』は戦時中のある国を舞台に、運命の恋に落ちた男女の逃避行を描くラブストーリー。

前半はコメディ色が強く、後半はややシリアスな展開です。

すさまじいの一言につきる、コメディパートの歌って踊ってハイテンションな宴シーンは必見!

 

と、そういえばこの賑やかさ、どこかで見たような?

 

 

 

ドンチャンコメディの傑作『黒猫・白猫』

 

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ハイテンションなコメディといえば、思い出すのは『黒猫・白猫』。
クストリッツァ監督の代表作の1つです。

 

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私はついこの間はじめて観たのですが、いや~笑った笑った。

20年近く前の映画で『オン・ザ・・・』に比べたら画質も荒いのに、画面からあふれるパワーが圧倒します。

 

ブンカブンカとジプシー音楽も賑やかに、アクの強いキャラクターが次々登場。

お調子者は全力でお調子者、ずる賢いヤツはエネルギッシュにずる賢い・・・とにかくみんな突き抜けています。

 

(ジプシー音楽ってこんな感じ!※ジャズやラテンなどもミックスされています)

 

誰か1人を明確に主人公とするのではなく、大勢の登場人物がそれぞれ「祭りだ祭りだ!」の勢いでエピソードを作り出し、二転三転の果てすべてがつながり大団円。

 

ジャンルとしてはドンチャン系で、邦画でいえば三谷幸喜監督のコメディとタイプが似ています。

 

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メインキャスト級の活躍を見せる動物たち

 

パワフルな人間たちに一歩も引けをとらない存在感を放っているのが、動物キャスト。

それも猫だけじゃなく、車を食べるブタに手品のタネのひな鳥、扇風機の動力を務めるネズミなど、とにかく多彩です。

 

というか、なんでタイトルは猫なんだ!
あいつらチョイチョイ顔出しては食っちゃねしてただけじゃないの!!

 

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数いる動物キャストのなかでも特に輝いていたのは、ガチョウ。

『オン・ザ・・・』でアイコン的存在のガチョウですが、『黒猫・白猫』でも大活躍!

 

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フガフガ鳴きながら集団で、あるときは庭先あるときは海あるときは結婚式をやかましく彩り、花嫁の身代わりにされたりオッサンにタオル代わりにされたり・・・と人間に翻弄されつつも物語を盛り上げてくれた彼ら。

 

うん、猫なんかよりよっぽどがんばってた!

猫なんてせいぜい結婚式の立会人に引っ張り出されたくらいだし。

 

(ちなみに私はずっと「アヒル」だと思ってました・・・)

→アヒルとガチョウの違いはこちら! 

 

 

 

きっと未体験の笑いがあなたを襲う!

 

コメディは好きなジャンルなので人並みに観てると思うのですが、『黒猫・白猫』は今までに観たどんなコメディとも違っているような、経験したことのない笑いに襲われました!

 

中盤以降はラストの本当に一瞬まで、笑いの加速度が止まりません。

グワァァァーッと上がっていって「ジャン!おーしまい!」って感じ。

 

ドンチャンコメディ×動物(byクストリッツァ)が生み出す未体験の笑い。

まだ観たことのない方はぜひ!

 

 

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超こじゃれた恋愛映画『ポルト』はダサい人が観ても大丈夫そうだよ!

 

まずこちらの予告編を観ていただきたい。

9月30日公開予定の映画『ポルト』のものだ。

 

 

 

 

オシャレだ。そしてクール。

すっぴん・Tシャツ・ジーパンなのにどっからどうみても垢ぬけている、そんな美女みたいだ。

 

ヨーロッパのクラシックな街を舞台に、ふと出会った美男美女が刹那的な恋に翻弄される・・・

 

しょっぱな数秒でそんなストーリーを連想した私は、映画館でこの予告編が流れたときは薄目でやりすごした。

 

映画は好き嫌いせず観ることを心掛けているし、そのおかげで思わぬ傑作に出会えたこともある。

 

が、オシャレ・クール・ラブロマンスと3拍子そろってしまったら、さすがにちょっと・・・

 

こんなこじゃれた映画、ダサい女なんて蚊帳の外だと、フライヤーをもらう気にもならなかった。

 

 

 

ところが、である。

何気なく映画公式サイトのストーリーを読んだ私は、愕然とした。

 

この映画はオシャレかつクールなラブロマンスでありながら、その実、非常にダサいラブロマンスでもあるのだ。

 

 

※注意!

本記事ではストーリーを紹介するため、若干ネタバレしております。

(あくまで映画公式サイトに記載されている範囲内です)

 

 

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(映画公式サイト)

 

 

映画公式サイトのストーリーはこちらだ。

 

mermaidfilms.co.jp

 

 

画像も言い回しもスタイリッシュだし、「ソルボンヌ」とか「ドウロ河」とか、雰囲気ある単語がいくつもでてくるが、そういった要素を除いて平坦に書き直すとこうである。

 

 

場所はP国。

20代半ばのJは幼いころP国に来た外国人で、友人もなく、職を転々としながら孤独に暮らす青年。

アラサー女性・Mは恋人とともにP国に来たばかりの外国人で、自由奔放な性格の肉食系美女。

 

ある晩カフェで出会った二人は、そのまま一夜をともにする。

魅力的なMにすっかりメロメロになったJだが、Mの方は遊び。

恋人との将来や今の生活を壊す気なんてさらさらなく、一度きりのつもりだった。

 

MをあきらめきれないJはストーカー化。

Jの執拗さが手に負えなくなったMは悩んだ末、警察へ。

留置所に入れられたJは絶望に打ちひしがれる。

 

 

これで「出所したJはナイフを持って」とでも続いたら、言葉は悪いが三面記事だ。

 

そう、この映画、あれだけこじゃれた雰囲気を醸し出しながら、物語の骨格は男女のダサいゴタゴタなのである。

 

 

 

********

 

 

 

あらすじがダサいことに加え、登場人物もいわゆる「カッコいい美男美女」というわけではなさそうだ。 

 

ストーリーを読んでまず驚いたのは、Jのキャラクターである。

 

「あれ?これじゃあJはまるっきり社会不適合のダメ男じゃないか。美男美女のラブロマンスは?」

 

もしかしたら社会不適合といっても、スナフキン系のカッコいいタイプなんだろうか。

そう思って予告編をしっかり見直してみたが、

 

J・・・しょぼくれた野良犬みたいな顔をして・・・

 

 

(別バージョンの予告編。MとJの出会いのシーン)

 


ストーリーを読む限り、Jがいわゆる美男じゃなかった(俳優さんはハンサムだよ!)ことに加え、Mの方も当初のイメージを裏切るキャラクターである。

意外なことにMの方も結構ダサいのだ。

 

2人のゴタゴタはJの留置所行きでケリがつき、物語は数年後に移る。

 

カフェで2人が出会ったときのMは間違いなく「美しく自信にあふれ、人生を満喫しているカッコいい女性」だった。

しかし数年後のMは「私は幸せ」と自分で自分に言い聞かせ、人から「そうは見えない」と言われる女性になっている。

 

彼女がつい視線を向けてしまうのは、不仲の夫や子育てに追われる今でも将来でもなく、過去の一夜。

その夜にカフェでJに見せたハツラツとした笑顔も輝きも、今の彼女にはないのだ。

 

 

 

********

 

 

 

本作は明らかにオシャレでクールなラブロマンスだ。

しかし描かれるのはラブロマンスのダサい側面のようである。

 

人と人が関わる上でのめんどくささ、生活の中での興ざめ・・・

 

「ラブがロマンスでいられるのなんて、ほんの一瞬。あとはダサいもんですよ」

とでも伝えたいのだろうか。

 

まだ観ていないので決めつけたことは言えないが、少なくとも「こんな映画、ダサい自分は楽しめない」と嫌煙するのはもったい作品だと思った。

公開されたらぜひ劇場で観てみたい。

 

 

mermaidfilms.co.jp 

 

 

********

 

ちなみにJを演じるのは故 アントン・イェルチン

ロシア生まれアメリカ育ちの俳優で、2016年に27歳の若さで亡くなった。

今年日本公開された映画『グリーンルーム』でも主演を務めている。

 

www.transformer.co.jp

 

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NETFLIXデスノート、注目はライトのキャラ変!ミサの設定は?

 

NETFLIXオリジナル映画『DEATH NOTE』。

 

f:id:kabo123:20170905172522j:plain(NETFLIX『DEATH NOTE』) 

 

原作はもちろん、日本生まれの世界的ヒットコミック『デスノート』。

アラサー世代にとっては10代のころリアルタイムで連載を楽しんだ、懐かしい作品だ。

 

DEATH NOTE デスノート 1巻

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かくいう私もその1人なので、本作は楽しみ・・・半分、不安半分に配信開始を待っていた。

 

感想は・・・おもしろかった!

 

ただ原作の舞台をアメリカにし、ミサをモデルからチアガールにしただけじゃない。

原作の骨格は残しつつ、周辺的なエピソードは大幅に変更。

死のノートをめぐる新しい物語となっている。

 

何より注目は、作品のジャンルが変わったこと。

どちらもサスペンスだが、原作は本格ミステリ、NETFLIX版はクライム・アクションの色が強い。

 

そして原作に(ある程度だが)沿う日本版映画がいわゆるパニック映画なのに対し、NETFLIX版はその要素はあるものの、毛色が違う。

 

これはひとえに主人公・ライトの設定が変わったためだと思う。

 

 

********

 

 

NETFLIX版ライト(以下NFライト)も原作ライトと同じく「天才高校生」で「正義感が強」く「デスノートで世界を変えよう」とするが、そのキャラクターは全く違う。

 

例えば、死神・リュークとの出会い。

原作ライトは一瞬驚くも、すぐ気をとり直したが、

 

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NFライトは絵に描いたように「仰天」。

 

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ノートを使い始めるにあたっても、原作ライトは自ら進んでバリバリ書いていったのに対し、

 

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NFライトはリュークになだめすかされてようやく、というビビりっぷり。

 

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原作ライトは捜査の手が伸びてきたことを知ると、逆に闘争心を燃え上がらせたが、

 

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NFライトは一気に顔面蒼白、それまでの調子こいた発言はどこへやら、ノートによる殺人をあっさりストップしようとする。

 

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********

 

 

こんな風に書いていくと、NFライトは腰抜けのダメダメ主人公に思われるかもしれない。

が、そうじゃなく、NFライトだってちゃんと「天才高校生」である。

 

しかしメンタルが「普通の高校生」なのだ。 

とてもじゃないが本格ミステリのダークヒーローが務まる器じゃない。

NETFLIX版がトリックや推理より、アクションの方が目立つ作品なのはそのためだろう。

 

そしてこのライトの設定変更こそ、NETFLIX版のおもしろさであり、新しさとなっている。

 

デスノートは原作も日本版映画も、前述した通り、いわゆるパニック作品だ。

今年夏に公開された『22年目の告白 -私が殺人犯です-』もそうだったけど、"正体不明なモンスターの出現により世間が騒然"という筋書きは、デスノートの成功のあと、1つの人気ジャンルにのし上がった印象を受ける。

 

NETFLIX版にもこの筋書きは描かれているのだが、パニック映画かというとちょっと違う。

世間よりむしろ、主人公・ライト本人のパニックを描いているのだ。

 

ちょっと頭のいい少年が、かっこつけた軽い気持ちで正義のヒーローになろうとしたら、事態がどんどん手に負えなくなり、日常が失われる恐怖にさらされる・・・

 

主人公・ライトの設定を「普通の高校生」に改変したからこそ成立する、新しい筋書きである。

 

 

********

 

 

とはいえ、こんな消極的なライトでなぜ話が進むのか?

 

それは他のメインキャスト、ミサやLやリュークのキャラクターも改変されているからである。

このあたりはぜひ観て確かめてほしい。

 

www.netflix.com

 

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なぜしっかり者の女性でもダメ男に落ちるのか?映画『ロルナの祈り』

 

映画『ロルナの祈り』を観た。

 

www.netflix.com

 

監督はベルギーの名匠・ダルデンヌ兄弟。

今年春に公開された新作『午後8時の訪問者』が私の初ダルデンヌなので、本作で2作目だ。

 

www.bitters.co.jp

 

正直な感想を言うと、前半はかなり退屈である。

が、後半は非常に引き込まれる作品だったので、途中で短気を起こして観るのを止めてしまわないでよかった。

 

と言っても、急に後半ハデになるというわけではない。

本作は最初から最後まで、ロルナという1人の女性をただただカメラに映しただけの物語である。

 

間違いなくダメ男好きの素養を持つ、ロルナの・・・

 

 

 

******

 

 ※注意!

この記事は若干のネタバレを含みます。

(公式サイト、予告編で公開されている範囲内)

 

******

 

 

 

あらすじ

ロルナはアルバニアからベルギーへ移り住んだ若い女性。

ベルギー国籍を得るために、ブローカーの手引きで、麻薬中毒者の青年・クローディと偽装結婚をする。

 

情緒不安定で手のかかるクローディとの同居に辟易としながらも、晴れてベルギー国籍を手にしたロルナ。

しかし彼女はベルギーでの新生活のために、ブローカーが企てる新たな国籍売買に手を貸そうとしていた。

 

こういった背景は徐々に明らかにされていく。

しかし当初のロルナとクローディの関係は、パッと見、どこにでもいそうな破局寸前の同棲中カップルだ。

 

ヤク中でかまってちゃんの彼氏は、疲れて帰ってきた彼女に「トランプしようよ!」とまとわりつき、断られたら大音量で音楽を流し、叱られたら泣きつき、そして「ヤクやめるの手伝ってよ、君っていう目標がないと頑張れない」と甘える・・・

 

冷静沈着でしっかり者な彼女、そんな彼氏に憤る状態はすでに通り過ぎ、彼氏に向ける目には「うんざり」以外の感情が見当たらない・・・

 

 

もう、見てると、彼女の口からいつこのセリフ、

 

 

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が飛び出すんだろうと期待が高まる。

(実際には飛び出しません)

 

好きで一緒に暮らし始めたカップルでも一方がこんな状態になってしまったら大変だろうに、ましてロルナとクローディの間には何の絆もない。

 

首尾よくベルギー国籍も手に入れたことだし、もうさっさと離婚して同居を解消したいとロルナが思ったとしても当然である。

 

ところが本作で軸となるのは、移民問題でも国籍売買でもなく、ロルナとクローディのラブストーリーなのだ。

 

 

 

******

 

 

 

実はロルナ、一緒に暮らしているうちに、クローディを愛するようになってしまうのである。

 

2人の生活は最初から最後まで上記のようなものだったのに、である。

 

クローディは徹頭徹尾、いいところが1つもない甘ったれダメ男なのに、である。

(しいて長所をあげるなら暴力を振るわないところ、いやそれは振るわないのが当たり前だ、じゃあやっぱりいいところは1つもない)

 

加えて、もし理屈をこねるなら、

「貧しい国に生まれ苦労してきた女性が、豊かな国に生まれながらグータラ生きるヤク中のダメ男に同情する?惚れる?ありえん!」

 

それがあり得るのだ。

 

思うに女性がダメ男を好きになるのは、きっと理屈じゃない。

その素養を持っているかがすべてなのだ。

 

そしてロルナは持っていた。

 

当初のロルナは超リアリストでしっかり者、クローディのことはただウザいとしか思っていなかった。

同郷の恋人をベルギーに呼び、一緒に暮らす計画も立てていた。

 

クローディはそんなロルナにひたすら頼りない姿を見せ続けた。

こう懇願しながら・・・「君がいないとダメなんだ」。

 

結果、後半に入るあたりで、ロルナ陥落。

 

恋人を差し置き、大金が手に入る計画もうっちゃって、あと少しで実現できるはずだった夢の新生活さえも自分で台無しにしてしまう。

考えるのはクローディのことばかり。

 

もはや前半とは別人である。

 

 

 

 ******

 

 

 

映画『ロルナの祈り』は、真面目で社会派な映画(そうでもあるけれど)っぽいけれど、恋愛映画として難しいこと抜きに面白い。

 

雰囲気が非常に淡々としているので、まるでロルナという女性のドキュメンタリー映画みたいなのだ。

 

「しっかり者な女性がなぜダメ男に落ちるのか?」の答えが、国境も文化も超える説得力で伝わってくる。

 

 

 

 

 こちらもぜひ!m(_ _)m

nuwton.com

 

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【9月前半in東京】ミニシアターで公開される新作映画おすすめ5選

 

いよいよ8月も下旬!
夏痩せを期待して早2カ月、結局やや増で秋を迎えることになりそうです。

 

何かとアンニュイになりがちな夏の終わりは、初秋に公開される新作映画のことを考えて気分を盛り上げましょう!

 

というわけで、9月前半に東京のミニシアターで公開予定の新作映画、おすすめ5作品をご紹介します!

 

 

①禅と骨 

 

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(映画公式サイト)

 

 

アメリカ人の父と日本人の母を持ち、激動の20世紀を生き抜いた禅僧、ヘンリ・ミトワを映したドキュメンタリー。

 

20過ぎて渡米した直後に日米戦争が勃発して収容所に入れられてしまったり、30過ぎて困難を超えてアメリカで生活を築いたり、40過ぎて帰国し日本文化で才能を発揮したり、50過ぎて禅僧になったりと、「波乱万丈」以外の言葉が見つからないほど激しい半生を送ったヘンリ。

とはいえ老後は、多くの人に囲まれた悠々自適で穏やかな生活・・・だったはずが、80手前で突如ある宣言「映画を撮りたい!」

 

果たしてその行方は・・・という映画なのですが、公式サイトのメインビジュアル以上にインパクトがあったのが、予告編。

“高齢の禅僧のドキュメンタリー”と聞いたらやっぱり、道徳の授業で観るような、真面目で固い雰囲気の映画を想像するじゃないですか。

 

ところがどっこい、予告編の雰囲気はスタイリッシュでユーモアたっぷり。
さらに再現ドラマのヘンリ役にウエンツ瑛士、ナレーションは仲村トオルとキャストも豪華。

これ絶対面白いじゃん、そう思わずにはいられませんでした。

 

 

 

www.transformer.co.jp

 

上映館

☆ポレポレ東中野☆

 

(上映館一覧はこちら)

 

 

②ギミー・デンジャー

 

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(映画公式サイト)

 

ザ・ストゥージズの結成は1967年。

 

一度聴いたら忘れられないほどインパクトの強いサウンドに、イギー・ポップの救急車搬送レベル(本人が)に過激なパフォーマンス。
強烈さなら他の追随を許さないロックバンドでした。

 

しかし74年に自然消滅するまでにリリースしたアルバムはわずか3枚。
批評家からは下品と叩かれ、ロック史の中で「最低のバンド」のレッテルを張られることに。

 

が、後世の名だたるロックバンドがその影響を公言したことで見直され始め、2010年にはロックの殿堂入り。
「パンク、オルタナティヴ・ロックの出発点」と大きく再評価されました。

 

本作はそんな伝説的ロックバンドの軌跡をたどるドキュメンタリー。
この映画の何がすごいって、ロック界の鬼才を映画界の鬼才が撮るというこの構図!

というのも本作を手がけたジム・ジャームッシュはカンヌ受賞歴も持つ巨匠でありながら、デビュー以来インディー精神を貫く独特な存在の監督なんです。

 

アウトサイダーな2つの才能・・・レジェンドが撮るレジェンド・・・
あああもう、たまらない!(ミーハーだから)

音楽ファンにも映画ファンにもおすすめしたい作品です!

 

 

 

movie-gimmedanger.com

 

上映館

qualite.musashino-k.jp

 

(上映館一覧はこちら)

 

 

 ③脱脱脱脱17

 

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(映画公式サイト)

 

歌と噓泣きが得意な17歳の女の子・リカコ。

母親とケンカし家を出たリカコは、同級生の応援団部員・ノブオとともに、生き別れた父親を捜す旅に出ます。

 

本作で最も気になってしまうポイントは、やっぱり監督。

メガホンをとった松本花奈監督は撮影当時、何と・・・17歳。

現役の女子高生だったのです。

 

しかしその若さにも関わらず、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に作品が正式出品されるなど、すでに監督としての実績あり。
映画界が熱く注目する新星です。

 

って、そんな・・・観れないよそんな・・・
きっと「等身大の17歳☆」みたいな、超キラキラした映画なんでしょ?
目が潰れちゃうよ・・・ハイボールが生きがいのオバサンには眩しすぎるよ・・・

 

が、予告編を観ると、あれ?キラキラは?

 

このオッサンは誰?ノブオ?ノブオいくつ?

 

実はノブオ、17年間高校生をやっている34歳。学ランがコスプレにしか見えないバリバリのオッサンです。

と観ていると、ノブオに負けず劣らずキャラの濃ゆい人がゾロゾロ・・・
???

 

よくわからない、なのにえらい面白そう。なんとも不思議な雰囲気の予告編でした。

 

 

 

映画「脱脱脱脱17」公式サイト 

 

 上映館

www.eurospace.co.jp

 

(上映館一覧はこちら)

 

 

④DARK STAR/H・R・ギーガーの世界 

 

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(映画公式サイト)

 


「H・R・ギーガー?知らない」

 

という人だって、彼が生み出した"ある生き物"は目にしたことがあるはず。
ほら、頭が横にニューンと長くて、ちょっとグロい奇怪なほらあれ・・・

そう、エイリアン。

 

H・R・ギーガーはスイス人の画家・デザイナー。

ダークでグロテスクながらゾクッとするほど美しい、そんな作品をいくつも手掛けたアーティストです。

 

本作は彼の生涯に迫るドキュメンタリー。

「作品は怖い系だけど、作り手は普通な生活をしている普通の人です。意外でしょ?」

なーんて全くなく、予告編に映る彼の実生活は普通とはかけ離れたダークな世界。

 

壁一面に並ぶドクロ、森の中の怪しげな館、ブラックなアートに囲まれた食卓に灯るロウソク、猫。

わ、わかりやす過ぎる・・・

 

が、観客のそんな"良識的な"戸惑いを見透かすように、予告編はこう締められています。

 

『私の絵を怖いと思う人は現実を把握していない人だ。』

 

ちなみにH・R・ギーガーは撮影から間もない2014年5月に他界。

本作は稀有なアーティストの最後の姿を映した貴重な映像でもあります。

 

 

 

gigerdarkstar.com

 

上映館

www.ttcg.jp

 

(上映館一覧はこちら)

 

 

⑤ナインイレヴン 運命を分けた日 

 

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(映画公式サイト)

 

本作は実話に基づいた物語。

題材はタイトルの通り、9.11同時多発テロです。

 

2001年9月11日の朝、ワールドトレードセンタービル・ノースタワー内のエレベーターに乗り合わせた5人の男女。

その直後に飛行機がビルへ激突、エレベーターに閉じ込められてしまいます。

 

立場も背景も違う5人が極限状況において力を合わせる・・・というストーリーだけでも、ヒューマンドラマとしてすごく面白そう。

でも本作の見所はそれだけではありません。

 

9.11って、それだけでも悲惨な大事件なのに、その後にも世界規模でものすごい悲劇を生み出しています。

そんな大きな出来事を、世界とか歴史とか大きな視点ではなく、1つのエレベーター内の5人の個人という視点で描く。

これは興味深い試みだと思います。

 

それにしても映画にハマったこの1年、自国主義とか移民問題とかをテーマにした作品を一体いくつ観ただろう。

今リアルタイムに世界が直面し、たくさんの監督が作品にせずにはいられないテーマにおいても、9.11は分岐点といえる大事件。

と思うと、発生から16年も過ぎた今、この大事件を映画にするのには「忘れちゃいけないから」以上の深い意味がある気がします。

 

 

 

nineeleven.jp

 

上映館

shinjuku.musashino-k.jp

 

(上映館一覧はこちら)

 

 

まとめ

 

どの映画も一癖ありそうで面白そう!

公開が待ち遠しいです。

 

「夏も終わりか〜・・・」とテンション落ちがちなこの季節、面白い映画の封切りを楽しみに乗り切りましょう!

 

 

 

 

 

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宮沢りえは絶対ベストキャスト!戯曲『ワーニャ伯父さん』

 

チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』が8月末から9月にかけて上演されます。
場所は東京・新国立劇場 小劇場。

 

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(公式サイト)

 

初めて読んでから数年、『ワーニャ伯父さん』は「一度は舞台で観てみたい」とずっと思っていた作品。

しかし金欠にも関わらず今回チケットをボチッてしまった理由は他でもありません。

 

 

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エレーナはメインキャストの1人で、27歳の美女。

宮沢りえさんは言わずと知れた美人女優ですが、現在44歳。

 

これって、これって・・・

 

 

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「ん?ちょっと歳が離れてない?でもまあ舞台だし・・・」って?

ところがどっこい、エレーナはただの(?)27歳じゃないんです!

 

 


*****

 

 


『ワーニャ伯父さん』の舞台は19世紀ロシアの田舎。

しかし時代も国も越えて「いそう」な人々、「ありそう」な悲劇を描いた人間ドラマです。

 

エレーナは夫とともに田舎に滞在していますが、普段は都会で暮らす女性。

上品かつ知的な27歳、とびきりの美人です。

 

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一口に美人といってもタイプは様々ですが、エレーナは美形の顔立ちにミステリアスな雰囲気を持つ、魔性の女タイプの美人。

 

そう、まさに宮沢りえタイプの美人なんです!

 

 

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「でも実際に27歳前後で、そのタイプの美人女優もいるでしょ?44歳の宮沢りえがベストキャストとは言えないんじゃないの?」って?

 

 

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エレーナは若い女優さんより、人生経験を積んだ女優さんの方が絶対ベストキャストになる!

 

というのもエレーナの表情には、いつも影があるからです。

 

実はエレーナの夫は彼女よりずっと年上。

かつては著名でモテモテの学者でしたが最近は完全に落ち目、四六時中エレーナにグチグチ言うだけのオッサンと化していました。

 

 

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オッサンの毒気にあてられたエレーナはすっかり厭世的になってしまったのです。

 

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しかしエレーナはけして陰気な女性ではなく、こんな夫のことも気づかうし、義理の娘とも仲良くしようと優しく歩み寄るし、カッコいい男性に出会ったらちょっとドキドキしたりもします。

それでいて誰かに深入りすることはありません。

 

「陰気じゃないのに影がある」「厭世的だけどメンヘラじゃない」「感受性はあるのに執着しない」・・・

とどのつまり「こじらせることなく、静かにあきらめている」のがエレーナ。

 

「えー、27なら人生イヤになっても、まだジタバタしちゃう歳じゃないの?」と思ってしまいますが、エレーナはそういう女性。

 

だからこそアラサーそこらの女優さんより、人生山あり谷ありをたくさん経験した宮沢りえさんみたいな女優さんの方が、エレーナ役にはぴったりなんです! 

 

 

 

*****

 

 

 

舞台『ワーニャ伯父さん』。

宮沢りえさんのエレーナ含め、今からとても楽しみです。

 

ちなみに長々とエレーナの魅力についてだけ書きましたが、『ワーニャ伯父さん』のヒロインはエレーナではありません。

ヒロインは主人公・ワーニャの姪、ソーニャです。

 

ソーニャはメインキャストの中で唯一、しっかり地に足が着いている善良な娘さん。

むしろそのために、クライマックスまでは華やかなエレーナの方に目を引かれがちです。

 

でもやっぱり本作のヒロインはソーニャ。

なぜって、作品を読み終えた後に最も強烈な印象が残るのは彼女だから・・・

 

ソーニャの魅力についてはぜひ作品を読んで、あるいは観て、確かめてみてください!

 

 

www.siscompany.com 

ワーニャおじさん (岩波文庫)

ワーニャおじさん (岩波文庫)

 

 

 

★『ワーニャ伯父さん』についてもっと知りたい方には、こちらの本がおすすめ!

 

 

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クールだわ~…と見とれた男は小物だった映画『ローサは密告された』

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(映画公式サイト)

 

フィリピン・マニラのスラム街を舞台にした映画『ローサは密告された』。

 

劇映画(フィクション)の作品ですがドキュメンタリータッチが強く、貧困問題や警察の腐敗など、フィリピンの今を生々しく描き出しています

 

 

あらすじ

 

フィリピンのスラム街で暮らす、恰幅のいい肝っ玉母ちゃん・ローサ。
夫とともに小さな雑貨店を営むも生活は苦しく、違法薬物の売買に手を染めていた。

ある夜、店に警察の麻薬捜査グループが踏み込み、ローサと夫は逮捕されてしまう。
誰かがローサの店のことを密告したのだ。

捜査グループはローサに、罪を免れたければ情報を提供するか、大金を支払うよう強談。
ローサは知り合いの売人を警察に売る決心をするが・・・

 

 

ドキュメンタリータッチはあえてのことで、その狙いは強烈なリアリティを持たせること。 

役者にシナリオを渡さないことで生きたセリフを引き出したり、美術には実際にそのシチュエーションにあるものを使うなど、工夫を凝らしたそうです。

 

しかし、本作には「やっぱり劇映画!」と感じる、キメ台詞ならぬビシッと決まったキメシーンも。

警察の麻薬捜査グループのボスが煙草を吸うシーンはそのひとつです。

 

 

*****

 

 

ローサたちを逮捕した捜査グループは、シーンが進むごとに腐りっぷりを露呈します。

 

「禁止薬物、11条違反、ブタ箱いきだな。20万はらうなら助けてやる」と、司法取引でも何でもない権力をかさに着たユスリなんて朝飯前。 

押収した金で取調室で宴会を開き、逮捕者が少しでも妙な真似をしようものなら集団リンチまでします。

 

そんな中、押収した札束をなんら悪びれることなくポケットにしまい、外に出ていく捜査グループのボス。
ぶらぶら歩きながらタバコをくゆらす・・・

 

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本作は音楽や効果音がほとんど登場しませんが、ここは珍しく効果音が入っているシーン。

 

その効果もあいまって、このシーンのボスはちょっとゾクッとするほどクール。
腐りきったイヤな奴のはずなのに、ワルの魅力というか、不覚にも見とれてしまったほど・・・

 

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が、煙草をふかしもったいぶって歩く彼が向かった先は、

 

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え?ネコババしたお金って、上司に納めるの?

 

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さらに、ローサに売られて逮捕された売人が、捜査グループの目をごまかしてこっそり連絡を取ろうとしたのが「上級警部」。

 

え?逮捕されて警察に連絡?と観客が戸惑っていると、勘づいた捜査グループが「てめえ何やってんだ!!」と携帯を取り上げ、売人をボコボコに。

 

そして「警察や区長にチクったらぶっ殺すぞ!」。

 

もしかしてローサたちを逮捕した警察グループは、警察の中でもチンピラ並みの下っ端?

それで署長にみかじめ料というか、賄賂を貢いでいるの?

「20万必要なんだ」っていうのも、もしかしたら出世のため??

 

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*****

 


しかしこの辺りの事情については、映画公式サイトの丸山ゴンザレスさんのコメントを読むと、また見方が変わります。

 

おそらく本作に登場する警察官の月収は2~3万円といったところだろう。
そのため警察官は、幹部や署長への上納金を差っ引くといくら手元に残るのかを考えて見逃し料を計算しているのだ。

(映画公式サイトより)

 

こうした事情を知ると、ローサの一家が生活のために違法なことをしていたように、警察官が腐敗しきっているのも背景には生活のためがあるんだろうか・・・と複雑な気持ちに。

 

いやでも、押収した金で「大物が釣れたぜ!宴会だ、ビールとチキン買ってこい!」だし・・・ううむ。

 

ちなみに撮影は本物の警察署で行われました。

なんでOKが出たの?と不思議に思いかけますが、署の人々は映画の内容を知りながら、それを自分たちのことだと全く感じていなかったそう。

  

ううむ・・・

 


*****

 


本作は映画的な演出を感じるシーンが少なく、まるでスケッチするようにフィリピンという国を描き出しています。

 

だからこそこの記事でふれたような、スリリングさや情感をしっかり演出したシーンが際立っており、観ていて引き込まれずにはいられません。

特にラストのローサの表情は、今年観た映画の中で一番というくらい印象的。

 

映画『ローサは密告された』、ぜひ劇場でご覧ください!

上映館はこちら。

 

 

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