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宮沢りえは絶対ベストキャスト!戯曲『ワーニャ伯父さん』

 

チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』が8月末から9月にかけて上演されます。
場所は東京・新国立劇場 小劇場。

 

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(公式サイト)

 

初めて読んでから数年、『ワーニャ伯父さん』は「一度は舞台で観てみたい」とずっと思っていた作品。

しかし金欠にも関わらず今回チケットをボチッてしまった理由は他でもありません。

 

 

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エレーナはメインキャストの1人で、27歳の美女。

宮沢りえさんは言わずと知れた美人女優ですが、現在44歳。

 

これって、これって・・・

 

 

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「ん?ちょっと歳が離れてない?でもまあ舞台だし・・・」って?

ところがどっこい、エレーナはただの(?)27歳じゃないんです!

 

 


*****

 

 


『ワーニャ伯父さん』の舞台は19世紀ロシアの田舎。

しかし時代も国も越えて「いそう」な人々、「ありそう」な悲劇を描いた人間ドラマです。

 

エレーナは夫とともに田舎に滞在していますが、普段は都会で暮らす女性。

上品かつ知的な27歳、とびきりの美人です。

 

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一口に美人といってもタイプは様々ですが、エレーナは美形の顔立ちにミステリアスな雰囲気を持つ、魔性の女タイプの美人。

 

そう、まさに宮沢りえタイプの美人なんです!

 

 

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「でも実際に27歳前後で、そのタイプの美人女優もいるでしょ?44歳の宮沢りえがベストキャストとは言えないんじゃないの?」って?

 

 

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エレーナは若い女優さんより、人生経験を積んだ女優さんの方が絶対ベストキャストになる!

 

というのもエレーナの表情には、いつも影があるからです。

 

実はエレーナの夫は彼女よりずっと年上。

かつては著名でモテモテの学者でしたが最近は完全に落ち目、四六時中エレーナにグチグチ言うだけのオッサンと化していました。

 

 

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オッサンの毒気にあてられたエレーナはすっかり厭世的になってしまったのです。

 

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しかしエレーナはけして陰気な女性ではなく、こんな夫のことも気づかうし、義理の娘とも仲良くしようと優しく歩み寄るし、カッコいい男性に出会ったらちょっとドキドキしたりもします。

それでいて誰かに深入りすることはありません。

 

「陰気じゃないのに影がある」「厭世的だけどメンヘラじゃない」「感受性はあるのに執着しない」・・・

とどのつまり「こじらせることなく、静かにあきらめている」のがエレーナ。

 

「えー、27なら人生イヤになっても、まだジタバタしちゃう歳じゃないの?」と思ってしまいますが、エレーナはそういう女性。

 

だからこそアラサーそこらの女優さんより、人生山あり谷ありをたくさん経験した宮沢りえさんみたいな女優さんの方が、エレーナ役にはぴったりなんです! 

 

 

 

*****

 

 

 

ずっと観たかった『ワーニャ伯父さん』。

宮沢りえさんのエレーナ含め、今からとても楽しみです。

 

ちなみに長々とエレーナの魅力についてだけ書きましたが、『ワーニャ伯父さん』のヒロインはエレーナではありません。

ヒロインは主人公・ワーニャの姪、ソーニャです。

 

ソーニャはメインキャストの中で唯一、しっかり地に足が着いている善良な娘さん。

むしろそのために、クライマックスまでは華やかなエレーナの方に目を引かれがちです。

 

でもやっぱり本作のヒロインはソーニャ。

なぜって、作品を読み終えた後に最も強烈な印象が残るのは彼女だから・・・

 

ソーニャの魅力についてはぜひ作品を読んで、あるいは観て、確かめてみてください!

 

 

www.siscompany.com 

ワーニャおじさん (岩波文庫)

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★『ワーニャ伯父さん』についてもっと知りたい方には、こちらの本がおすすめ!

 

 

 

 

クールだわ~…と見とれた男は小物だった映画『ローサは密告された』

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(映画公式サイト)

 

フィリピン・マニラのスラム街を舞台にした映画『ローサは密告された』。

 

劇映画(フィクション)の作品ですがドキュメンタリータッチが強く、貧困問題や警察の腐敗など、フィリピンの今を生々しく描き出しています

 

 

あらすじ

 

フィリピンのスラム街で暮らす、恰幅のいい肝っ玉母ちゃん・ローサ。
夫とともに小さな雑貨店を営むも生活は苦しく、違法薬物の売買に手を染めていた。

ある夜、店に警察の麻薬捜査グループが踏み込み、ローサと夫は逮捕されてしまう。
誰かがローサの店のことを密告したのだ。

捜査グループはローサに、罪を免れたければ情報を提供するか、大金を支払うよう強談。
ローサは知り合いの売人を警察に売る決心をするが・・・

 

 

ドキュメンタリータッチはあえてのことで、その狙いは強烈なリアリティを持たせること。 

役者にシナリオを渡さないことで生きたセリフを引き出したり、美術には実際にそのシチュエーションにあるものを使うなど、工夫を凝らしたそうです。

 

しかし、本作には「やっぱり劇映画!」と感じる、キメ台詞ならぬビシッと決まったキメシーンも。

警察の麻薬捜査グループのボスが煙草を吸うシーンはそのひとつです。

 

 

*****

 

 

ローサたちを逮捕した捜査グループは、シーンが進むごとに腐りっぷりを露呈します。

 

「禁止薬物、11条違反、ブタ箱いきだな。20万はらうなら助けてやる」と、司法取引でも何でもない権力をかさに着たユスリなんて朝飯前。 

押収した金で取調室で宴会を開き、逮捕者が少しでも妙な真似をしようものなら集団リンチまでします。

 

そんな中、押収した札束をなんら悪びれることなくポケットにしまい、外に出ていく捜査グループのボス。
ぶらぶら歩きながらタバコをくゆらす・・・

 

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本作は音楽や効果音がほとんど登場しませんが、ここは珍しく効果音が入っているシーン。

 

その効果もあいまって、このシーンのボスはちょっとゾクッとするほどクール。
腐りきったイヤな奴のはずなのに、ワルの魅力というか、不覚にも見とれてしまったほど・・・

 

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が、煙草をふかしもったいぶって歩く彼が向かった先は、

 

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え?ネコババしたお金って、上司に納めるの?

 

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さらに、ローサに売られて逮捕された売人が、捜査グループの目をごまかしてこっそり連絡を取ろうとしたのが「上級警部」。

 

え?逮捕されて警察に連絡?と観客が戸惑っていると、勘づいた捜査グループが「てめえ何やってんだ!!」と携帯を取り上げ、売人をボコボコに。

 

そして「警察や区長にチクったらぶっ殺すぞ!」。

 

もしかしてローサたちを逮捕した警察グループは、警察の中でもチンピラ並みの下っ端?

それで署長にみかじめ料というか、賄賂を貢いでいるの?

「20万必要なんだ」っていうのも、もしかしたら出世のため??

 

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*****

 


しかしこの辺りの事情については、映画公式サイトの丸山ゴンザレスさんのコメントを読むと、また見方が変わります。

 

おそらく本作に登場する警察官の月収は2~3万円といったところだろう。
そのため警察官は、幹部や署長への上納金を差っ引くといくら手元に残るのかを考えて見逃し料を計算しているのだ。

(映画公式サイトより)

 

こうした事情を知ると、ローサの一家が生活のために違法なことをしていたように、警察官が腐敗しきっているのも背景には生活のためがあるんだろうか・・・と複雑な気持ちに。

 

いやでも、押収した金で「大物が釣れたぜ!宴会だ、ビールとチキン買ってこい!」だし・・・ううむ。

 

ちなみに撮影は本物の警察署で行われました。

なんでOKが出たの?と不思議に思いかけますが、署の人々は映画の内容を知りながら、それを自分たちのことだと全く感じていなかったそう。

  

ううむ・・・

 


*****

 


本作は映画的な演出を感じるシーンが少なく、まるでスケッチするようにフィリピンという国を描き出しています。

 

だからこそこの記事でふれたような、スリリングさや情感をしっかり演出したシーンが際立っており、観ていて引き込まれずにはいられません。

特にラストのローサの表情は、今年観た映画の中で一番というくらい印象的。

 

映画『ローサは密告された』、ぜひ劇場でご覧ください!

上映館はこちら。

 

 

 

 

 

 

 

エログロだけじゃない!韓国映画『オールド・ボーイ』3つの見所

 

ある日突然拉致され15年監禁された男が、犯人に復讐するべく真相を追うハードボイルド・サスペンス『オールド・ボーイ』。

 

2004年にカンヌ国際映画祭でグランプリに輝き、注目を集めた韓国映画です。

 

 

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暗く重たいストーリーながら鮮やかなアクションシーンやコメディ要素もありで、見ごたえ満点の1作。

 

しかしエログロが激しく内容も過激。

「こんな悪趣味なもの、おもしろがって観る人の気がしれない」と感じる人がいても、全く不思議じゃない問題作でもあります。

 

でも『オールド・ボーイ』はエログロで過激なだけの映画じゃない!
他にも見所のある作品です。

 

 

 

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見所その1 映像効果がおもしろい!

 

本作には様々な映像効果が用いられています。

 

例えば主人公オ・デスが過去の「ある出来事」を思い出すシーン。

一時的に彼が10代だった過去に視点が移り、何があったかが再現されます。 

 

再現の光景の中に、過去のオ・デスと現在のオ・デスが入れ替わり立ち替わり登場するのですが、そのタイミングが絶妙!

  

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何も知らない過去のオ・デスの行動に、すべてに気づいている現在のオ・デスが覚える焦燥感を、観客も一緒に体験。

過去と現在の交差が巧みに表現されています。

 

こういった「映像だけでもおもしろいシーン」が本作には数多く登場。

3分以上にわたる横スクロールワンカットで撮影されたアクションシーンは特に必見です!

 

 

見所その2 音楽が美しい!

 

本作は全編通して美しい音楽が印象的な作品でもあります。

 

作中1,2を争うグロテスクな「歯のシーン」でも、

 

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流れるのは

 

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オープニングのハードボイルドっぽさ満点な1曲から、どこか牧歌的なテーマ曲まで、音楽だけでも楽しめるラインナップです!

 

オールド・ボーイ オリジナル・サウンドトラック(CCCD)

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  • アーティスト: サントラ,イ・ジス,チェ・スンヨン,シム・ヒョンジュン,セント・ルークス室内合奏団
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見所その3 張り巡らされた伏線がすごい!

 

本作には序盤から数々の伏線が張り巡らされています。

 

例えば、監禁中に主人公オ・デスが犯人への決めセリフを練習するシーン。

 

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「ハードボイルドっぽいセリフだな」と聞き流してしまいますが、この決めセリフがクライマックスで再登場。

 

しかしカッコよく、ではなく、むしろオ・デスが作中最もみっともない姿の時に・・・

 

そう、決めセリフはそのシーンで、オ・デスの痛々しさやブラックな滑稽さを際立たせるために用意された伏線だったのです。

 

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こういった「ハードボイルドっぽいな」でスルーしてたけど、実は伏線だった要素」が、クライマックス以降に思いもよらない形で再登場し、バシバシつながっていく運びは圧巻!

エピローグまで一瞬も目が離せません。

 

 

まとめ

 

過激すぎる問題作でありながら、いち映画として非常に完成度が高い1作『オールド・ボーイ』。

 

「観てみたいけど、エログロか・・・うーん・・・」と迷われている方、ぜひチャレンジしてみてください!

 

 

オールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]

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あらすじ

 

ごく普通のサラリーマン、オ・デスは、ある日何者かに拉致されホテルの1室のような部屋に監禁される。
理由も知らされないまま、1年2年と時はすぎていく。
誰が?なぜ?苦悩が深まる中で、オ・デスは脱出と犯人への復讐を決意する。

 

しかし15年の月日がすぎた時、犯人は唐突にオ・デスを解放。
そして「これはゲーム。自分で謎を解いてみろ」と挑発した。
オ・デスは犯人の与えるヒントを手がかりに、犯人の正体、そして真相を追い始める。

 

 

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超耽美な映画『ぼくのエリ 200歳の少女』が、耽美嫌いにもおススメな理由

 

タイトルもDVDパッケージも”耽美”ムンムンな映画『ぼくのエリ 200歳の少女』。

 

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はたしてその内容はというと、雪景色の美しいストックホルムを舞台に孤独な美少年とバンパイアの甘く切ない初恋を描く、『ポーの一族』ばりに麗しい耽美系です。

 

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“耽美”と聞くと、ちょっと・・・と抵抗を感じる人もいるかもしれません。
が、本作は食わず嫌いするのはもったいない1作!

なぜなら、

 

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耽美系でバンパイアと聞けば、青白く儚げで、高貴なお血筋風の美男美女を連想しますが・・・

 

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本作のバンパイア少女・エリは美少女というよりエキセントリックな印象が強く、

 

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アグレッシブで、

 

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もちろん主食は人の血液なので、こういった、

 

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人が襲われてキャーなシーンもあるのですが、

エリの襲い方はバンパイアというより未知の野生獣。

 

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中盤以降になると、そのワイルドさはオスカーの前でも発揮され始め、

 

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ドン引きするオスカーも見どころになるほど。

 

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こうしたエリの素朴で動物的なキャラクターが、非常に耽美な設定を美しくロマンチックに描いている本作を、耽美嫌いでも楽しめる甘すぎないテイストに仕上げてくれています!

 

また本作はホラーとしても秀逸。

オスカーの日常にスポットを当てたロマンチックなラブストーリーと、バンパイアとしてのエリの正体を浮き彫りにするバイオレンスなホラーストーリーが交差し、徐々にリンクしていく運びには、思わず引き込まれること間違いなしです!

 

「耽美とか苦手なんだよね」という方も、ぜひご一見ください!

 

 

 

 

あらすじ


12歳の少年・オスカーは友達のいないいじめられっ子。
仲の良かった父親とも両親の離婚で離れ離れとなり、殺人事件に興味を持ったりいじめっ子に仕返しする空想に浸ったりと、孤独を深める日々を送っていた。

ある日オスカーは近所に越してきた同い年の少女・エリと出会う。
自分のたった1人の友人になってくれたエリに恋心を抱くも、時同じくして地域で不可解な殺人事件が頻発するように。

やがてオスカーはエリが異質な存在であることに気付き始める。

 

 

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韓国サスペンス映画『殺人の告白』に見る、役者のルックスの重要性

22年目の告白 -私が殺人犯です-』がいよいよ来月公開ということで、本家のほうをレビュー。

韓国のサスペンス映画『殺人の告白』である。

 

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Amazon/殺人の告白 [DVD]

 

本作はすでに時効をむかえた連続殺人事件、その真犯人を名乗る青年・ドゥソクがメディアの前に現れたことで、大騒動が巻き起こるストーリー。

 

ドゥソクを演じるのは韓国の人気俳優パク・シフ

切れ長の瞳に化粧品のイメージガールばりの美肌、スリムで長身な体型。一見「この優男め!」の悪態がジャストフィットしそうなのに脱いだらムキムキという、少女漫画王道タイプのイケメンだ。

 

ドゥソクと対決するのは、時効まで事件を追い続け一度は犯人に肉迫した担当刑事・ヒョング

ほどよく薄汚れた雰囲気と、敏腕刑事じゃなければ反社会的勢力の人としか思えない鋭い眼光を持つ男くさいタイプのイケメンで、韓国のベテラン俳優チョン・ジェヨンが演じる。

 

あらすじを読んだときはシリアスなスリラーかと思ったが、「アクションエンターテインメント」とある通り、エンタメ性の強いアクション作品だった。

 

追って追われてカーアクションは迫力満点だし、ボーガン使いやヘビ使いという"強すぎる一般人"も登場するし、さらに後半では「そうか、お前も強かったな」という"第三の男"も登場。

 

とにかく派手、ところどころボケ(ミーハー女子高生など)も挟み、一瞬たりとも観客を退屈させないおもしろさである。

 

さらにこの映画のすごいところは、これだけアクション・エンタメに比重を置いているのに、サスペンスとしても練られているところ。

 

実はあらすじを読んだ段階で「こういうことかな」と予想していた真相があった。

そしてクライマックスであきらかになった真相の半分はその予想していたものでアタリだったのだが、もう半分は全く予想外のもの。

 

「あー、なるほど!」真相を知って全てがストンと腑に落ちる感覚という、サスペンスの醍醐味を味わわせてもらった。

 

 

そんなおススメ映画な本作だが、実はもう1点、非常に興味深いポイントがあった。

役者さんのルックスである。

 

本作は、物語の前半はドゥソクとヒョングの2人を軸に進むのだが、後半に入る頃に“第三の男”、Jが登場する。

 

このJというのがもー、国境を越えてどこまでもブサメンで通るブサメンなのだ。

 

別にフォローではなけれど、顔のつくりだけみれば騒ぐほどブサイクではない。普通だ。

にも関わらず、誰もが生理的嫌悪感を抱かずにはいられないほどのブサメンに仕上がっている。これは役者さんの力だろう。

 

ともあれJはSクラスのブサメンなのだが、そのルックスが本作のクライマックスで非常に重要な効果を発揮している。

もしJまでイケメンだったらクライマックスのどんでん返しにあれほどのインパクトはなかっただろう。

 

ネタばれになるので詳しくはかけないが、一言でいうなら「イケメンが輝くにはブサメンが必要」という話だ。

「俗悪な人がいるからこそ清廉な人が輝く」とも言えるかもしれない。

 

しみじみ思ったのは、映画というのは映像の作品なんだなあということだ。

本作は映画における役者のルックスの重要性を思い知らされる1作でもあった。

 

 

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迷えるアラサー女は閲覧注意?テレビ史上最悪の放送事故にひそむ真実とは

 

今から40年以上前、アメリカの地方局で、テレビ史上最悪の放送事故が起きた。

生放送のニュース番組に出演していた女子アナが、カメラの前で拳銃自殺したのだ。

 

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『ケイト・プレイズ・クリスティーン』劇場フライヤー

 

放送後、該当の映像はどこにも出回らず、今や都市伝説と化したこの事件。

その背景を追うドキュメンタリー映画ケイト・プレイズ・クリスティーン』が、7月に渋谷で上映される。

 

www.uplink.co.jp

 

 

すわっ『Christine』ついに日本公開かと思ったら別作品だった

 

昨年、シネマトゥデイがあるショッキングな映画について報じた。

実際に起きた事件を元にした劇映画『クリスティーン(原題) / Christine』だ。

 

www.cinematoday.jp

 

事件が起きたのは40年以上前、1974年のアメリカ・フロリダの地方局。
29歳の女性アナウンサー、クリスティーン・チャバック(Christine Chubbuck)は、いつも通り生放送のニュース番組に出演していた。


しかし突然、“テレビ初、鮮血と自殺を放送します”という旨を口にすると、拳銃を取り出し、止める間もなく自分の頭を打ったのである。


当時はまだ録画機器が普及してなく、現在に至るまで事件の画像はどこにも出回っていない。

 

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(『Christine』予告編より)

 

『Christine』はクリスティーンを主人公に、彼女が事件を起こすまでを追う作品。

 

サスペンスに加えて社会派作品でもありそうだし、何よりクリスティーンを演じたレベッカ・ホールのこの言葉を読むと、「将来どうしたら」状態のアラサー女の1人として非常に興味を引かれた。

 

 “成功した女性”の標準に合わない女性であることがどういうことかについての映画でもあり、環境に順応できなことの苦しみについて(の映画でもあった)

シネマトゥデイ

 

 そのため先日シネマトゥデイの下記の記事タイトルを見たときは「日本公開するの!?」と驚き、別作品と知り少しがっかりした。

 

しかし詳細を見てみると、同じ題材を扱いながらも『Christine』とはまったくタイプの異なる、とても興味深い作品だった。

 

www.cinematoday.jp

 

 

現実を通して真実を?異色のドキュメンタリー

 

『ケイト・プレイズ・クリスティーン』はクリスティーンの事件を題材としたドキュメンタリー映画

 

しかし予告編や解説を見る限り、単なる事件の再現ドラマではなさそうだ。

 

www.chunfufilm.com


映し出される世界は40年以上前の過去ではなく現在。

カメラが捉えるのはクリスティーンを演じることになった女優、ケイト・リン・シールが、役をつかもうと模索する姿である。

 

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(『ケイト・プレイズ・クリスティーン』公式サイトより)

 

ケイトは事件当時を知る人に話を聞き、肌や髪の色を変え、クリスティーンの人間性に想いをはせる。

 

徐々にクリスティーンをつかみ始めるケイト。しかしそれにつれて、彼女の中である変化が起きていく。

 

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(『chunfu film』公式サイトより)

 

本作の主人公は紛れもなくケイトだ。

クリスティーンの役作りを通して、ケイトという女優の内面に迫る。

 

そして、ここからは予想だが、ケイトがクリスティーンと同化していくことで、そのケイトを通して今度はクリスティーンの内面に迫り、このセンセーショナルな事件にひそむ真実を明らかにする…という試みなのかもしれない。

 

だとしたら従来のドキュメンタリー映画の真逆をいく手法である。

映画という作り物によって実在の事件に迫るのではなく、ケイトという女性の現実を通してもうこの世にいないクリスティーンという女性を追う…どちらが現実でどちらが虚構か、わからなくなりそうだ。

 

それともまさか、狂気は伝染する…なんて、怖い話なのだろうか。

いずれにしても、ドキュメンタリー映画としてどこか実験的な、異色なものであることは間違いない。

 

 

同じ題材なのに雰囲気がぜんぜん違う!予告編見比べ 

 

紹介した2作品の予告編を見比べると、雰囲気が全く異なることがわかる。

 

『Christine』では1つ1つの表現が力強く、シネマトゥデイの記事の言葉を引用するなら「どんどん暗闇から抜け出せなくなっていくクリスティーンの姿」をダイレクトに映し出している印象だ。

 

 

一方『ケイト・プレイズ・クリスティーン』では比較的、表現は淡々としている。ケイトが手探りでクリスティーンに近づいていく様子はサスペンスよりもミステリーの雰囲気で、そして非常に繊細な印象だ。

 

 

監督も主演も違うし、そもそも劇映画・ドキュメンタリー映画とジャンルも違うのだから当たり前でしょうと言われるかもしれない。

 

しかし同じ1つの事件、1人の女性にスポットを当てていることを考えると、『演出』のおもしろさ、重要性を感じさせられる。ガラスの仮面の「たけくらべ」の亜弓vsマヤみたいな。

 

ちなみに、同時期に同じ題材の2作品が制作されたことには何か理由が?と思いきや、本当にただの偶然らしい。

 

 

 

まとめ

 

題材としている事件が事件なので、かなり好みの分かれてしまう映画かもしれない。

しかし『ケイト・プレイズ・クリスティーン』はドキュメンタリー映画として特徴的な作品でもあるので、映画好きな人にはぜひ観てほしい1作だ。

 

迷えるアラサー女の私も、ちょっとショックを受けそうな予感もするのだが、やっぱりおもしろそうなので観に行こうと思う。

 

『ケイト・プレイズ・クリスティーン』は渋谷・アップリンクにて、7月15日より公開予定。

 

www.uplink.co.jp

 

 

(※以前別ブログに書いた文章を一部使用しています。) 

 

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