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ちゃんと怖がらせてから笑わせます!ホラー映画『ゲット・アウト』

 

白人ガールフレンドの実家を訪れた黒人青年が、とんでもなく怖い目にあうホラー映画『ゲット・アウト』。

 

低予算制作ながら全世界興行収入2億5200万ドル超、辛口批評サイト・ロッテントマトにて『ドント・ブリーズ』(87%)や『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』(85%)を超える高評価99%を叩き出した、大大大ヒット作です。

 

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(映画公式サイト) 

 

そんなこと聞いたら期待しちゃうじゃないですか。どんだけ怖いの〜!?って。
だから昼間に観に行きました。池袋のシネマロサでレイトショー割引対象作だったんですが「夜は無理でしょ、眠れなくなるよ」と。

 

・・・が。結論から言うと、レイトショー全然OKなホラーでした。

 

すごく面白いし、ちゃんと怖い。

でもそれ以上に笑える。

 

あからさまにギャグに走っているわけじゃありません。登場人物はみんな大真面目です。ガチで怖がらせにきます。

 

なのに作品のベクトルが完全にギャグ。

映画『スペル』みたいな笑える系ホラーでした。

 

 

 

あらすじ

写真家の黒人青年・クリスは白人のガールフレンド・ローズに招待され、郊外にある彼女の実家の屋敷を訪れる。

 

あたたかくクリスを迎えるローズ一家だったが、一見愛想のいい態度の端々に滲みでるのは黒人への差別意識

温厚なクリスは不快に感じながらも、愛するローズのため笑顔で我慢していた。

 

しかし徐々にクリスが感じるものが、不快から疑問、そして恐怖へ変わっていく。

屋敷で働く黒人の使用人たちの様子、“いけ好かない”では説明のつかない白人たちの言動・・・

 

何かがおかしい。そう気づいた時、クリスはすでに逃げ場を失っていた。

 

 

 

ホラーとしてちゃんと怖い

 

本作は“違和感”の怖さを描いたホラーです。

白人一族は嫌なヤツらですが、当初は普通の嫌なヤツらで怖くはありません。

 

まず観客をビビらせてくれるのは、一族の中にいる黒人たち

屋敷で働く2人の使用人と、白人マダムの愛人?らしき若い男です。

 

彼らはみんな礼儀正しくにこやか。

にも関わらず、ど〜〜〜見ても、何かが不自然なんです。

 

別に“笑顔だけど目が笑ってない”とかじゃありません。

目もちゃんと笑ってるし、

 

 

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口元も笑ってる。

 

 

 

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が、

 

 

 

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怖い。

 

この「何かがおかしい、それは間違いない。でも何がおかしいのかわからない。周りの人たちはみんな普通にしている。気のせいなのか?おかしいと感じる自分が変なのか?いやそんなはずは」は、考えたら一番たまらない状況ですよね。

得体の知れないものを感じているのに、それが“違和感”の範囲内だから、大騒ぎするわけにも逃げ出すわけにもいかない。

 

クライマックスで種明かしがあり、白人一族たちも普通じゃない本性をみせ激しい流血の事態となるのですが、ぶっちゃけそこからは怖くありません。

 

何なんだよぉぉぉ一体!?」こそが本作の恐怖の見どころ!
笑える系ながらホラー映画として、しっかり怖がらせてくれます。

  

 


でもやっぱりギャグ

 

ホラーとしてちゃんと怖い本作。

ですが、そのベクトルはどうしてもギャグなんです。

 

怖がらせるためのシーンが、ちゃんと怖いしビビらされちゃうんだけど、同時にギャグにもなっていて、どうしても笑いがこみ上げてくる・・・という。

 

“ギャグの面白さ”って(私の筆力では)文章で説明しても「ふうん」にしかならないと思うのですが、それを承知の上でワンシーンだけご紹介。

主人公・クリスが深夜、1人屋敷の中を歩いて外に出るシーンです。

 

 

**********

 

 

まずジャブとしてクリスが通り過ぎた後の画面。

真っ暗な屋敷、誰もいない・・・すると突然効果音が鳴り、廊下を通り過ぎる黒人女性の使用人の姿が!

 

 

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ヒェッ、とビビる観客。が、ちょっと「ん?」な思いも。

 

静寂な中でいきなり怖いものがうつり怖い効果音が鳴る、というのはホラーではおきまりの演出。

でもこのシーンは屋敷の中を使用人が歩いただけ。

「あれ?これ怖いものか?」という疑問がビビッた次の瞬間、頭をよぎるんですね。

 

そして外に出たクリスが煙草に火をつけ一服していると、突如とんでもないものが目に飛び込んできます。

暗闇の中、屋敷の向かいの林の方から全速力で走ってくる黒人男性の使用人!

 

 

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これは怖い。当然クリスもビビります。なにせクリスめがけて一直線です。

 

一直線にワーーーーーッときて・・・

 

 

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曲がるんかいっ!

何なのっ、とクリスが拍子抜けしてホッとして振り返るや、

 

 

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ヒェッ!・・・って外見てるだけかいっ!

何なの。

 

 

**********

 

 

うん、やっぱり文章にするとスベりますね。

面白いシーンなんですよ!劇場じゃウケてたんですよぅ・・・

 

 

 

まとめ

 

というわけで結論、やっぱり劇場でどうぞ。

 

いや、ホント面白いんです!笑えるんです、ホント。うまく伝えられないけど。

 

特に主人公の親友が超ナイスなやつで、彼が迫真の真顔でに「スェックススゥレィブッ」って叫ぶシーンとか、刑事さんたちもだけどお客さんたちだってもうドッカーン(爆笑)でしたよ!

なんで私が書くとこんなにつまんなそうにひびくんだ・・・。

 

上映劇場はこちら

 

 

 

ゲット・アウト

GET OUT

監督・脚本 ジョーダン・ピール

製作 ジェイソン・ブラム

キャスト ダニエル・カルーヤ アリソン・ウィリアムズ 

作品詳細 アメリカ、2017年 

 

 

 

 

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モテるのは顔がパティンソンだからじゃない!映画『グッド・タイム』

 

世の中にはやたら女性にモテる男がいる。

 

ルックスがいいとか性格がいいとか口が達者とか、いろんな要因があってのことだろうけど、一番の要因はやっぱり「女性をよく知っている」ことだ。

 

今回ご紹介したい映画『グッド・タイム』の主人公・コニーもその1人である。

 

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(映画公式ツイッターより)

 

 

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映画『グッド・タイム』はニューヨークの最下層に生きる青年・コニーが、警察に拘留されている弟を救い出すべく夜の街を疾走するクライム・ムービー。

じっくりコトコト作り込んでいるのにアクは一切とりのぞかないという、インディペンデント映画の魅力が全開の作品だ。

 

問題のコニーだが、どんな男か、一言でいうとチンピラである。

ぼさぼさ頭に無精ひげ、金も定職もなし。行動は粗暴で、悪知恵は働くが思慮は浅い。グダグダ感ただよう銀行強盗っぷりからしても、頭の切れるワルではない。

 

にも関わらず、コニーはモテる。老いも若きも女性はみんな、コニーにいちころだ。

 

まずストーリーの序盤で登場するメンヘラ風の年上美女。コニーとは彼女がお小遣いをあげる恋愛関係だが、主導権を握っているのはコニーだ。

また中盤でコニーと出会っていい感じになる美少女。当初はコニーが彼女に気を使っていたのに、気づいたらコニーの指図で少女がいそいそ行動するようになっている。

 

なぜコニーはモテるのか?演じているのが『トワイライト』で全世界のティーン女子をメロメロにした男、ロバート・パティンソンだから…と言ってしまえばそれまでだが、コニーはけしてパティンソンのルックスにあぐらをかいてはいない。

だからこそ、コニーがモテるのは恋愛関係に限らない。

 

例えばコニーが身を隠すために忍び込んだ病院の一室。中に1人でいた高齢の女性はコニーを見て、もちろん恐怖に固まる。ところが彼女はすぐにコニーを信用する。

コニーがとった行動はただ1つ、そっと彼女に近寄り、優しくジュースを飲ませてあげること。これだけで彼女はコニーを(悪い人じゃない)と思ってしまったのだ。

 

また、中盤で出会うしっかり者の中年女性。彼女は若い娘もいる家に、見知らぬ男のコニーをなんと一晩泊めてあげる。

コニーが怪我人の弟を連れていたからとはいえ、いかにも警戒心の強そうな彼女の心を動かしたのは何なのか?それはコニーの好青年らしい爽やかな低姿勢と、そこにちらつく貧困の哀愁だ。もちろん、コニーは狙ってそう振舞っている。

 

さらには犬…笑ってはいけない。そう、コニーは犬の女の子をも虜にする。

不法侵入した部屋で飼われていたワンコは、見知らぬコニーに最初こそギャン吠えするが、自分を猫かわいがりするコニーにものの数時間で懐く。

だけではない、その部屋でコニーがピンチに陥るや、牙をむいて助けようとまでする。

(犬の性別は作中で明らかじゃないが、もしこのワンコがオスだったら監督・サフディ兄弟のミスである) 

 

 

********

 

 

これらの事実からわかることはただ1つ、コニーは女性をよく知っている、ということだ。

 

メンヘラ風の女性や10代の少女が相手ならアメとムチ、愛の言葉を囁きつつも下手に出ない。ただただ自分に怯えている女性には、言葉より行動で優しさを伝える。しっかり者の女性にはがっつり好青年を演じ、要求したいことは相手の口から「申し出」られるまで待つ。犬はヨシヨシと可愛がる。

 

テキを知っているからこそ時と場合に応じた「正解の言動」が瞬時にわかるのだ。そして好意を勝ち取り、狙い通りに女性を動かしていく。

 

つまりコニーの「モテる」とは、女性を騙すタイプのモテだ。彼が劣悪な環境に生まれ育ったことを考えると、生きるために身につけた技術なのだろう。

 

とはいえ、女性の方が「騙されてもシアワセ」なら別にいいが、コニーは出会う人のほとんどを災難に巻き込む。ギザギザハートみたいに触れるものみな傷つける。女性はたまったもんじゃない。

もちろんトラブルの後始末なんてつけない。1人、さっさと逃げる。

 

好意につけ込んで利用してポイなんてひどい!最低男!

…が、トラブルになって初めてコニーに騙されていたことに気づいた女性がそれでも黙ってコニーをかばったりするので、もう何が何やら、男女のことはわからない。

 

 

********

 

 

映画『グッド・タイム』は現在公開中なので、コニーのモテっぷりも最低男かどうかも、劇場で確認してほしい。

 

ちなみにいち観客として私には、ただの最低男のクソ野郎には見えなかった。やっぱり弟の存在があるからだ。

 

知的障害を持つ弟とコニーのつながりは非常に強く、コニーは弟を守ることを自分の使命と信じている。弟を足手まといだなんて微塵も思わないのだ。

 

女性は見捨ててもファミリーは絶対に見捨てない。

「あんたマフィアかよ」とも思うが、コニーの薄っぺらな言動に不思議な深みを感じるのは、核心にあるのがこの純粋な愛情だからだろう。

 

映画『グッド・タイム』上映館の情報はこちら

  

 

 

 

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だから米ポップカルチャーにはこういう作品が浮かび上がってくる【映画『グッド・タイム』】

 

ロバート・パティンソン主演作『グッド・タイム』の試写会が10月24日、渋谷・ユーロライブで開催された。

監督・脚本は『神様なんかくそくらえ』のサフディ兄弟

上映後のトークイベントには映画・音楽ジャーナリストの宇野維正氏が登壇。作品の裏話や魅力を紹介した。

 

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映画『グッド・タイム』はニューヨークの最下層を舞台としたクライム・ムービー。

銀行強盗の容疑で逮捕された知的障害を持つ青年・ニック。彼の兄・コニーは弟を助け出すべく、悪知恵の限りを尽くして奮闘する。

今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門選出作品だ。

 

宇野氏は本作について「思いのほかエモーショナル。エッジの立った作品との前情報だったが真っ当に感動させられる作品でびっくりした」とコメント。

 

主演のロバート・パティンソンについては「面白い人」と話す。

トワイライト』シリーズでブレイクしトップスターの仲間入りを果たしたパディンソンだが、最近はメジャー作でギャラをもらいつつ『マップ・トゥ・ザ・スターズ』といった難解でメッセージ性の強い作品にも出演。本作はサフディ兄弟のファンだったパティンソンが「一緒に映画を作りたい」とアプローチしたことで実現したという。

 

また、サフディ兄弟が本作の音楽を手掛けたOPN(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)のファンであり、OPNがコラボしたアーティストのFKAツイッグスがパティンソンの(最近破局報道のあった)恋人であることを上げ、「アメリカではエンターテインメントのメジャートップの人たちとアートの人たちが近くにいる」と解説した。

 

(カンヌ国際映画祭サウンドトラック賞受賞)

 

米歌手のセレーナ・ゴメスが本作を観て称賛し、自主的に試写会を催したことにも触れ、「こういったことは日本では広告会社がタレントにお金を払ってやってもらう。でもアメリカでは(スターたちが)“いい!”と能動的・自発的にイベントをやる。だからアメリカの健全なポップカルチャーには本作みたいな作品が浮かび上がってくる」と、日本の映画シーンとの違いを指摘した。

 

映画『グッド・タイム』は11月3日より全国で順次公開される。

 

 

www.finefilms.co.jp

 

 

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前髪ありなし迷子女子は映画『アトミック・ブロンド』を観よ!

 

 「前髪を作りたい」と言うと、美容師はみんなこう言う。「大変ですよ」。

 

 毎朝、きちんとセットしなきゃいけない、あなたにはそんなのできないでしょ?ということだ。実際、私にはきっとできない。ストレートアイロンさえ持っていない私である。顔を見ただけで、自宅には5年ものの最安値のドライヤーしかないことを見抜かれるのかと思うと情けないが、ともかく私はプロの忠告には大抵、おとなしく従う。だからここ数年いつも前髪は長い。

 

 この判断にはもう1つ理由がある。「前髪ごとき」と思っていることだ。確かクレヨンしんちゃんの漫画に、しんちゃんと父ヒロシが床屋さんごっこをするシーンでこんなジョークがある。「どうしますか?」「舘ひろしにしてくれ」「顔は変えられませんよ」つまりそういうことだ。前髪が長かろうが短かろうが、美人になれるわけでもよりブスになるわけでもない。なら、楽な方がいい。

 

 ところが先日公開された映画『アトミック・ブロンド』を観て、ちょっと意見が変わった。

 

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(アトミックブロンド公式サイト)

 

 『アトミック・ブロンド』はいわゆる女スパイもので、ソ連とか東ドイツとかKGBとか謎のリストとかが出てくる。ストーリーより雰囲気を楽しむタイプの作品だ。長回しを活かしたアクションシーンは文字通り目を奪われる迫力で、1800円の価値が十分にある。しかし何よりも注目してしまったのは、主演・シャーリーズ・セロンの髪型だ。

 

 本作のシャーリーズの髪型は、金髪で、ウェーブのかかったボブ・前髪あり。作り込んだガーリーというか、とにかく自然な感じの髪型ではない。もちろん理由があってのことだ。

 

 映画のスパイにはナチュラルタイプとキャラクタータイプがあるが、本作は後者。シャーリーズ演じる女スパイは100m先からでも「あっ、女スパイだ!」とわかる格好をしている。髪型も、つまりそれに合わせたものなのだ。アラフォーのシャーリーズだが引き締まった体型の超絶美女なので、この髪型もミニスカートも普通に似合っているしセクシーだ。

 

 ところが、映画の終盤でシャーリーズは別の髪型を2つ披露する。まず黒髪・ショートボブ・前髪は長くてかきあげ。この髪型で登場したシャーリーズは、それまでの金髪・ウェーブボブ・前髪ありの8割増で美人&セクシーだった。もう1つは、金髪・ボブまとめ髪・前髪分けて額見せ。こちらは8割増で美人&知的だった。

 

 正直に言って、この変化にはアクションシーン以上に私は驚いた。もちろん3つの髪型全てで顔は同じ、シャーリーズの美しい顔である。髪の長さはどれもさほど変わらないし、髪色も黒髪・金髪どちらもある。印象の違いを産んだものが、前髪であることは明らかだ。前髪というものは「たかが」なんて存在じゃないのかもしれない。だって、顔が「シャーリーズ・セロン」でも、前髪でここまで印象が変わるのだから。

 

 この発見が後押しをして、私は先日美容院へ行った際、美容師の反対を押し切って前髪を作った。失敗したっていいじゃないか。髪なんてすぐに伸びる。もしかしたら違う自分に出会えるかもしれない。

 その結果、そう、結果は……いいじゃないか、髪なんてすぐに伸びるんだから。

 

 

 

 

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オードリー関係なしにも面白いから観て!映画『暗くなるまで待って』

 

オードリー・ヘプバーンにどんなイメージをお持ちでしょうか?

 

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ちょっと検索すれば、女優としてだけじゃなく生き方そのものが美しすぎるでしょ~というエピソードがゾロゾロ。

意識高い系女子&マダムなら10人中9人が好きな女優ですよね。(たぶん)

 

反面、あまりの高評価に逆に苦手意識のある人もいるのでは?

ローマの休日』のイメージからも"オードリー=女子供の観る恋愛映画"みたいな…

 

そんな人にこそおススメしたいのが、オードリー主演のサスペンス映画『暗くなるまで待って』。

 

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えっ?「オードリーがヒロインのサスペンスなんて、どうせ少女漫画みたいなのでしょ」って?(少女漫画をディスってるわけじゃないですよ!)

 

オードリー主演のサスペンス映画だと他に『シャレード』という作品もあり、確かにこちらは女性向けのラブコメっぽい作品。

 

ところがどっこい『暗くなるまで待って』は、甘い要素ほぼなし!

性別も意識の高低も問わず、サスペンス好きなら絶対楽しめる作品なんです!

 

 

 

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映画『暗くなるまで待って』は舞台劇のヒット作を映像化した作品です。

 

知らないうちに犯罪に巻き込まれた盲目の女性・スージーが、身を守るべく犯人たちと対決するシチュエーション・サスペンス。

ストーリーの9割がスージーの自宅の1室で展開します。

 

本作がサスペンス映画としてどこがすごいかというと、まさに!王道を極めているところ

ネタバレに気をつけつつ例をあげるなら、ストーリーの構成がその1つです。

 

夫が出張中で家に1人でいるスージーを訪ねてきたのは、夫の旧友を名乗る見知らぬ男。

お互いにこやかに応対し、すっかり男を信用したスージー。

しかしその訪問を皮切りに、次から次へと得体のしれない人物が登場します。

殺人事件を捜査中の刑事、スージーの夫が息子の嫁と不倫していると疑う老人、当の息子。

やがて話は「スージーの夫が不倫相手の女を殺したのでは?」なんていう、とんでもない方向に転がりだし…

 

というのが、スージー側から見たストーリー。

 

でも本作は犯人側の視点からスタートします。

実は旧友も刑事も息子も、スージーが巻き込まれている犯罪の犯人たち。

つまり観客は犯人側の思惑を全部知っていて「スージー、そいつらは犯人よ!家に入れちゃダメ!」とハラハラ見守る構成なんですね。

 

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非力な女性であり、かつハンデも背負っているヒロイン。

演じるオードリーの華奢な体型も相まって、圧倒的なか弱さ。

実際、犯人たちもスージーを完全になめてかかっていて、うまいことだまそうとします。

 

ところがスージーは一筋縄にはいきません

視力を失ったことで研ぎ澄まされた聴力とカンの良さで、逆に犯人たちを右往左往させます。

 

例えば、犯人のうち2人がそれぞれ旧友と刑事のふりして、スージーの家にうっかり残してしまった指紋をふき取ろうとするシーン。

2人はスージーが目が見えないのをいいことに、セリフで小芝居を打ちながら家の中をフキフキしてまわります。

 

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ところが刑事役の犯人が出て行ったあと、残った旧友役の犯人(スージーは本当に夫の旧友だと思ってる)にスージーはこう尋ねます。

「ウチの中、汚れてる?あの人あちこち拭いていたわ」

 

これには犯人の男、ギクッですよ!

しかも「手すりと冷蔵庫のところと…」と場所まで言い当てるものだから、もう(この女あなどれねぇ)と冷や汗。

 

それまでスージー大丈夫かしらとハラハラしてた観客としては「Whew!いいぞスージー!」("ヒュー"の綴りあってる?)

 

圧倒的に弱い主人公vs強い悪党」の構成って、サスペンスでは王道の1つ。

その見所はもちろん、いかにして主人公が逆転するかですが、本作はその見せ方が抜群!

 

スージーが自覚なしに犯人をタジタジにさせるところは見もので、この王道の構成をフルに活かしてるなぁ~!という印象です。

 

 

 

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『暗くなるまで待って』は本当に、サスペンス王道の要素をギュッと詰めたような作品で、もちろん構成だけではありません。

 

例えば伏線

 

物語の初めの方に、スージーが夫に「私の顔を見てる?」と聞き、夫が「見てるよ」と答えると「べー!」と舌を出すシーンがあります。

これ、実はクライマックスのあるシーンへの伏線。単なる微笑ましいシーンと思って忘れていたら、「あっ!」という。

 

こんな感じの伏線がいくつか用意されているのですが、こういうの良いですよね~伏線はサスペンス映画のスパイス!

 

また意表の突き方のサスペンスらしさも最高!

 

クライマックスは特に意表の連続なので、できることならリストで全部書き出したいのですが、ぐっと我慢して1シーンだけ。

 

いよいよ犯人グループの存在に気づいたスージーは、迎撃しようと一計案じます。

家じゅうの電球を壊して真っ暗にする作戦です。

だからタイトルが『WAIT UNTIL DARK』だったんですね。

 

ところが・・・

思い浮かぶのは「おめでとう、アリ先生」の古畑のセリフ。

「…全部捨てたつもりだったのに、1つだけ残っていたんです…」

 

そう、明りのつくものはすべて壊したつもりだったのに、1つだけあれを忘れてた…

ここの、スージーが振り返って観た光景って、もう本当に絵になります。サスペンス映画史に残っていいくらい。

しかもこの「意表」にも伏線がちゃんとあったっていう。すごい~

 

絵になるでいえば、このさらに後にある1シーンも。

暗闇から犯人がダーイブ!からのナイフで匍匐前進、という言葉で説明しても絶対伝わらないシーンがあるのですが、台所に追い詰められたスージーを匍匐前進の犯人からの角度でとらえた構図は、絵になるというか、絵!

きっとどこかの映画館にスチール写真で飾られているでしょう。(たぶん)

 

 

 

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ここまで手放しでホメておいて今更ですが、『暗くなるまで待って』は本格ミステリとしてみるならツッコミどころもちらほらあります。

なんでここでこうしないの?みたいな。

 

でもそんなことどうでもいいじゃんというくらい、サスペンス映画としてすばらしい!

オードリー・ヘップバーンが仮にこれしか主演作のない無名女優だったとしても、この作品はやっぱり半世紀観られ続けたと思います。

(「ガソリンは気化するからマッチ擦った瞬間に火の海のはずですけど?笑」とかいう人は、いーよ!観なくて!!

 

オードリー・ヘップバーンは苦手という方も、もしサスペンス好きならぜひご覧になってみてください。

 

暗くなるまで待って

WAIT UNTIL DARK

監督 テレンス・ヤング

原作 フレデリック・ノット 

キャスト オードリー・ヘップバーン、アラン・アーキン、リチャード・クレンナ

製作 アメリカ、1967年 

暗くなるまで待って [ オードリー・ヘプバーン ]

価格:1,000円
(2017/10/22 10:43時点)
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アラサー男性なら絶対共感できる日常系ラテン映画『7日目』

 

仕事は大事、妻と子どもはもっと大事。

だから結論は決まっている。なのに仲間に言い出せない。

 

日曜日に仕事が入り、草サッカーの決勝戦には出られなくなった、と…

 

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 2017年・第14回ラテンビート映画祭で上映されたアメリカ映画『7日目』。

ニューヨークで暮らすメキシコ系移民・ホセの1週間を、ドキュメンタリーと見紛うようなリアルなタッチで切りとった作品です。

 

アメリカ、移民の主人公という舞台設定から、社会派の難しい映画と思うかもしれません。

しかし純粋に日常系ムービーとしておもしろく、日本人でも引き込まれるストーリーで、特にアラサーくらいの男性ならきっと共感できる作品でした。

 

 

********

 

 

ブルックリンで同郷の仲間たちと共同生活をしているホセ。

週6日は自転車でのデリバリーの仕事をこなし、日曜には友達と草サッカーを楽しむ日々を送っています。

 

真面目に働くホセはオーナーから信頼され、マネージャーへの昇進も夢じゃない。

故郷に残してきた妊娠中の妻も近くアメリカに呼べそうなので、子どもには市民権を持たせてあげられる。

自身がエースを務めるサッカーチームは決勝戦に駒を進め…と、全ては順調でした。

 

ところがある月曜日、ホセは週末の日曜出勤を命じられます。オーナーの大切なお得意様がパーティの予約を入れたためでした。

その日曜はサッカーの決勝戦が開催される日。エースの自分が出場できなかったらチームは負けてしまう…

 

もちろん草サッカーのために仕事を棒にふるわけにはいきません。妻や生まれてくる子どものためにも、どちらを選ぶべきか答えは決まっていました。

しかしホセはチームの仲間に言い出せず、葛藤を抱えたままいつもの毎日を過ごします。

 

仕事、妻子、仲間、ぜんぶ大事。はたしてホセの結論は?

 

 

********

 

 

映画『7日目』で起きるのは「仲間との約束が仕事とバッティングした」という小さな事件だけ。

その小さな事件によって、主人公・ホセが人生の岐路に立っていたことが浮き彫りになります。

 

仕事での昇進や親になること、未来へ繋がる素晴らしいものを得る代わりに背負う責任は増していく。

大事なものの優先順位は、身軽だった若者の頃とは変えなければならない。

そんなことはちゃんとわかってる…でもいざ「どちらを選ぶの?」と目の前に突きつけられたら、仲間との約束を軽々しく二の次にできない。

 

もしこの事件が起きたのが数年前だったら、ホセは少しも迷わず仕事を辞めて試合に出ていたかもしれません。

またもし数年後、昇進もはたし子どもも生まれた後だったら、やはり迷わず仕事を選んだでしょう。

ホセの葛藤はこの事件がちょうど、彼が岐路に立っているこのタイミングで起きたからこそ生まれたものです。日曜日のあの行動も。

 

仕事を選ばなければとわかっていながらも迷い悩むホセ。

彼が日曜日に何を選んだのかは、ぜひ劇場で確認してみてください。

 

映画『7日目』は第14回ラテンビート映画祭にて、 10月21日(大阪)・11月5日(横浜)に上映予定です。

 

7日目
En el séptimo día
監督:ジム・マッケイ
出演:フェルナンド・カルドナ、ヒルベルト・ヒメネス、アベル・ペレス
製作:2017年、アメリカ
上映時間:97分

 

★タイムテーブル

lbff.jp

 

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【2017年ラテンビート映画祭】バルト9の大劇場でラテン映画を満喫してきた

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 行こう行こう…と思いつつ日程が合わず行けないでいたラテンビート映画祭

 東京会場の最終日前日、ようやく参加。新宿バルト9の大劇場でスペイン語映画2作品を楽しんできた。

 

 鑑賞したのは大都会ニューヨークで働くメキシコ系移民の1週間を追った映画『7日目』と、都会人の女性がアルゼンチン北部の寒村を訪れる姿を映した映画『家族のように』。

 偶然かもしれないが、思えばおもしろい組み合わせの同日上映だ。

 

初日は参加できず…

 

 ラテンビート映画祭は毎年秋に開催される映画祭。今年で14回目を迎える。

 2017年度は10月上旬〜中旬に東京、10月20・21日に大阪、11月2〜5日に横浜で、作品が上映される。

 上映作品はラテン諸国映画の最新作やまだ日本で知られていない良作だ。社会派作品からドキュメンタリー、サスペンスやコメディまで。今年の東京会場上映作には1951年製作の日本のコメディ映画『カルメン故郷に帰る』も名を連ねた。

 全体としてはシリアスな作品が多いものの、扱うジャンルは幅広い。

 

アルゼンチン・スペイン・フランス合作/スリラー映画『サミット(La cordillera)』

 

スペイン製作/コメディ『グラン・ノーチェ!最高の大晦日(Mi Gran Noche)』
※2015年第12回ラテンビート映画祭上映作品

 

 ラテンビート映画祭の発起人は、プロデューサーのアルベルト・カレロ・ルゴ氏。

 スペイン出身で日本の大学に留学経験があるアルベルト氏は、スペイン映画を日本に紹介したいという想いで、同映画祭をスタートする前から様々なアプローチを続けていたという。

 

「これまでで最強のラインナップ」プロデューサーアルベルト氏が自信を持って語る今年のラテンビート映画祭|「日本で知られていないラテン諸国のメジャーな作品をもっと紹介したい」ラテンビート映画祭の企画・プログラミングデ... - 骰子の眼 - webDICE

 

 今回鑑賞した『7日目』『家族のように』はどちらもとても見ごたえのある映画だった。

 特に『7日目』は多くの人にオススメできるタイプの作品だ。

 職場での昇進や妻の出産など社会的な責任が増していく中、それでも友達との約束を二の次にできない男の葛藤を静かに描く。

 文化の違いや重いテーマを超えて、アラサー以上の男性ならきっと共感できると思う。

 

 

 東京会場は本日(10月15日)で閉幕となるが、この次の週末には大阪、11月頭の週末には横浜で開催予定なので、興味のある人はぜひ足を運んでみてほしい。

 

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