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なぜしっかり者の女性でもダメ男に落ちるのか?映画『ロルナの祈り』

 

映画『ロルナの祈り』を観た。

 

www.netflix.com

 

監督はベルギーの名匠・ダルデンヌ兄弟。

今年春に公開された新作『午後8時の訪問者』が私の初ダルデンヌなので、本作で2作目だ。

 

www.bitters.co.jp

 

正直な感想を言うと、前半はかなり退屈である。

が、後半は非常に引き込まれる作品だったので、途中で短気を起こして観るのを止めてしまわないでよかった。

 

と言っても、急に後半ハデになるというわけではない。

本作は最初から最後まで、ロルナという1人の女性をただただカメラに映しただけの物語である。

 

間違いなくダメ男好きの素養を持つ、ロルナの・・・

 

 

 

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 ※注意!

この記事は若干のネタバレを含みます。

(公式サイト、予告編で公開されている範囲内)

 

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あらすじ

ロルナはアルバニアからベルギーへ移り住んだ若い女性。

ベルギー国籍を得るために、ブローカーの手引きで、麻薬中毒者の青年・クローディと偽装結婚をする。

 

情緒不安定で手のかかるクローディとの同居に辟易としながらも、晴れてベルギー国籍を手にしたロルナ。

しかし彼女はベルギーでの新生活のために、ブローカーが企てる新たな国籍売買に手を貸そうとしていた。

 

こういった背景は徐々に明らかにされていく。

しかし当初のロルナとクローディの関係は、パッと見、どこにでもいそうな破局寸前の同棲中カップルだ。

 

ヤク中でかまってちゃんの彼氏は、疲れて帰ってきた彼女に「トランプしようよ!」とまとわりつき、断られたら大音量で音楽を流し、叱られたら泣きつき、そして「ヤクやめるの手伝ってよ、君っていう目標がないと頑張れない」と甘える・・・

 

冷静沈着でしっかり者な彼女、そんな彼氏に憤る状態はすでに通り過ぎ、彼氏に向ける目には「うんざり」以外の感情が見当たらない・・・

 

 

もう、見てると、彼女の口からいつこのセリフ、

 

 

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が飛び出すんだろうと期待が高まる。

(実際には飛び出しません)

 

好きで一緒に暮らし始めたカップルでも一方がこんな状態になってしまったら大変だろうに、ましてロルナとクローディの間には何の絆もない。

 

首尾よくベルギー国籍も手に入れたことだし、もうさっさと離婚して同居を解消したいとロルナが思ったとしても当然である。

 

ところが本作で軸となるのは、移民問題でも国籍売買でもなく、ロルナとクローディのラブストーリーなのだ。

 

 

 

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実はロルナ、一緒に暮らしているうちに、クローディを愛するようになってしまうのである。

 

2人の生活は最初から最後まで上記のようなものだったのに、である。

 

クローディは徹頭徹尾、いいところが1つもない甘ったれダメ男なのに、である。

(しいて長所をあげるなら暴力を振るわないところ、いやそれは振るわないのが当たり前だ、じゃあやっぱりいいところは1つもない)

 

加えて、もし理屈をこねるなら、

「貧しい国に生まれ苦労してきた女性が、豊かな国に生まれながらグータラ生きるヤク中のダメ男に同情する?惚れる?ありえん!」

 

それがあり得るのだ。

 

思うに女性がダメ男を好きになるのは、きっと理屈じゃない。

その素養を持っているかがすべてなのだ。

 

そしてロルナは持っていた。

 

当初のロルナは超リアリストでしっかり者、クローディのことはただウザいとしか思っていなかった。

同郷の恋人をベルギーに呼び、一緒に暮らす計画も立てていた。

 

クローディはそんなロルナにひたすら頼りない姿を見せ続けた。

こう懇願しながら・・・「君がいないとダメなんだ」。

 

結果、後半に入るあたりで、ロルナ陥落。

 

恋人を差し置き、大金が手に入る計画もうっちゃって、あと少しで実現できるはずだった夢の新生活さえも自分で台無しにしてしまう。

考えるのはクローディのことばかり。

 

もはや前半とは別人である。

 

 

 

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映画『ロルナの祈り』は、真面目で社会派な映画(そうでもあるけれど)っぽいけれど、恋愛映画として難しいこと抜きに面白い。

 

雰囲気が非常に淡々としているので、まるでロルナという女性のドキュメンタリー映画みたいなのだ。

 

「しっかり者な女性がなぜダメ男に落ちるのか?」の答えが、国境も文化も超える説得力で伝わってくる。

 

 

 

 

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