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最後の一瞬まで気が抜けない!スパニッシュサスペンス『消えた少年』

 

スペインのサスペンス映画『消えた少年』(『ボーイ・ミッシング』)を観た。

 

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NETFLIXより

 

笑う故郷』『人生スイッチ』のおかげで、スマホにスペイン語アプリをインストールするくらいラテン映画がマイブーム(死語なんて言わないで)。

 

コメディ以外も観てみたい…と探し、NETFLIXで見つけたのがこの作品。

冒頭がいかにもB級サスペンスっぽかったので正直さほど期待していなかったけれど、いや、これおもしろい!

 

竜頭蛇尾の反対で、話が進むほどハラハラが高まる展開。

あれよあれよと話が転がり、クライマックスのどんでん返し、そしてラスト…そう、ラストが最高!

性格の悪い人なら思わず爆笑してしまうようなラストなのだ。

 

特におもしろかったのは、作中の正義を1つに限定していないところだった。

 

※本記事は若干ネタバレします!(物語の核心やオチには触れません)

 

 

 

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本作はとてもスピード感あるサスペンスだ。

タイトルは『消えた少年』だけど、本作の物語は誘拐された少年の発見から始まる。

 

全編観て振り返ると、誘拐そのものは作中でもっとも小さな事件。

でもそれが全ての発端だった。

 

言うなればマッチ一本の小さな火がみるみる延焼し、大火災に発展していく、そんなストーリーなのだ。

 

 

あらすじ

顔を血まみれにした少年が保護された。
捜査の結果、有名な女弁護士・パトリシアの一人息子と判明する。

 

少年の証言からある前科持ちの男が容疑者に浮上。
男は妻が妊娠中なのに職がなく、金に困っていた。
警察は営利目的の誘拐事件と判断し、男の身柄を拘束する。

 

しかし証拠が何も見つからず、結局男を釈放することに。
その直後、息子の周囲に不審な影がちらつき始める。

まさか男が目撃者である息子の口を封じようと…?

 

自力での解決を決意したパトリシアは、裏社会に通じる人物に接触。
息子に近づかないよう男を脅迫してくれと依頼するが…

 

 

あらすじを聞くと、パワフルで頭の切れるお母さんが我が子のために、一人で悪に立ち向かう系映画を連想するかもしれない。

チェンジリング』や『フライトプラン』みたいな。

 

確かに本作はその手の映画だ。

主人公・パトリシアはシングルマザーで、息子を教育熱心ながらも猫可愛がりに育てている。

大きな事件を扱う敏腕弁護士で、暮らしは裕福そのもの。

コネもあれば頭も切れる。何より、問題は自力で解決するものというガッツがある。

 

だからこそ息子のために誤った解決手段を選んでしまうのだが、しかし母親の我が子に対する愛情の純粋さは、作中で決して否定的に描かれない。

クライマックスの親子の会話シーンをみれば、本作においてパトリシアが母親としては「正義」に位置づけられていることは明白だ。

 

 

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NETFLIXより 

 

 

しかし、ここがおもしろいのだが、本作中でパトリシアは「悪」としても位置づけられている。

そもそも彼女の登場シーンは決して爽やかなものじゃない。

 

冒頭でパトリシアはある訴訟の弁護に立ち、見事、依頼人の無罪を勝ち取る。

報道陣には弁護の正当性をコメントもする。

 

しかし周囲に人がいなくなった時、パトリシアと依頼人が見せる顔は…“シメシメ”。

 

そう、パトリシアは依頼人が有罪であると知りながら、報酬目的で弁護を引き受け無罪にしたのである。

弁護士が依頼人の利益を守るのは当然とはいえ、位置付けとしては「悪」だ。

 

パトリシアは母親としては正義だが、権力者とかエリートとしては必ずしもそうとは描かれないのである。

 

そしてこの一面においての「正義」は、パトリシアのような権力を持つ人々によって往々にして理不尽な目に合わされる、社会的な弱者だ。

裕福な家の子どもの証言一つで物的証拠が何もないのに犯人扱いされ、その母親の金の力で身の危険にまでさらされる、そんな人である。

 

この二面性が巧みに描かれているからこそ、観客はクライマックスでは母親としてのパトリシアの言葉にささやかな感動を覚えながらも、あのラストに意地の悪いスカッする気分を味わってしまうのだ。

 

 

 

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二転三転のスピード感ある展開ながら、複雑さも持つ本作『消えた少年』。

 

どんでん返しのクライマックスといい、最後の一瞬まで気の抜けないラストといい、見ごたえのあるサスペンスを探している人はぜひ、ビール片手にご覧になってほしい。

 

 

www.netflix.com

 

ちなみに本作の脚本を書いたオリオル・パウロさん、Wikipediaのページがないからマイナーな人なのかと思ったら、日本での映画祭でも新作『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』が上映されるなど、結構ご活躍な脚本家・監督だった。

 

気になるのに経歴が全くわからない。誰かスペイン映画に詳しい人、Wiki作って…

 

 

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