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猫映画はもういいよ…な人こそ観て!映画『猫が教えてくれたこと』

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近年は、猫も杓子も猫コンテンツである。そろそろ“ねコンテンツ”なんて言葉が流行ってもいい頃だ。どいつもこいつも猫を出しておけばウケると思ってる。こっちはもうおなか一杯だ。

 

こうした現状が私に“猫”のつく作品への偏見を持たせてしまった。どんなに高評価でも話題作でも“猫”が絡んでいると聞くと、私はスーン…となってしまう。

 

もし“ねコンテンツ”に対する不信感に陥っている人が私以外にもいるとしたら、おすすめしたい映画がある。現在公開中の『猫が教えてくれたこと』だ。

 

 

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(映画公式サイト)

 

映画『猫が教えてくれたこと』はトルコの港町・イスタンブールにこれでもかというくらい存在する野良猫たちから数匹をピックアップし、カメラで追いつつ、その猫を知る人々にコメントを求める構成だ。

 

数ある猫映画のなかでも本作は“ねコンテンツ”として特別である。なぜならドキュメンタリー映画だからだ。映るのは人間が手を加えていないリアルな姿の猫であり、切り取られるのは猫の“決定的瞬間”ではなく日常である。

 

だからこそ、にも関わらずな猫たちのキャラ立ちっぷりには驚かされる。

 

例えば、野良猫とは思えない毛並みの美猫・デュマン。高級レストランをエサ場とする彼だが、遠慮してか店内には決して入らない。それでいて“おこぼれ”ではなく自分好みの“料理”をシェフに用意してもらっている。気に入らないと口をつけない。
なんて気品あるツンデレ。シェフたちが骨抜きされるのも無理はない。

 

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また、鋭い目つきと激しい気性で「あいつはサイコパスだ」と人間にウワサされる女帝猫も印象的だ。その名もサイコ。
自分の数倍ある犬さえ蹴散らす彼女、もちろん夫は尻に敷いている。その上やきもち焼きで、夫が若くてかわいい猫にちょっとでも近づこうものなら二匹まとめて成敗である。(若猫が気の毒でならない)

 

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“ねコンテンツ”を色眼鏡で見てしまう私、もし本作が劇映画(フィクション)だったら「ちょ~っと設定が濃すぎよねぇ。もっとリアリティとのバランスをさぁ…」などと、切りすぎた前髪をかき上げて知ったようなチャチャを入れるところだ。が、本作はノンフィクション。イスタンブールへ行けばこのキャラの濃すぎる猫たちに会えてしまう。

 

「実在する日常」ならではのナチュラルな味わい深さは、そんじょそこらの“ねコンテンツ”ではお目にかかれないものだ。“ねコンテンツ”に食傷の人も、きっと唸ってしまうこと請け合いである。

 

 

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本作が“ねコンテンツ”として特別なポイントはもう1つある。人々が猫を単なる「カァワイィー」の対象物と見なしていないところだ。

 

イスタンブールの町中には野良猫や野良犬のための水飲み場が設置されているのだが、そこには心ない人が嫌がらせをしないよう、こんな張り紙がある。「来世で飲み水に困りたくなければ手を触れるな」

 

そう、この町の人々は猫を可愛くか弱い存在としてではなく、神聖な存在として大切にしている。ネズミ被害に悩まされる港町だからこそ生まれた、リスペクトに基づく絆が、ヒトと猫の間に現在も息づいているのである。

 

だから人々は猫を飼って保護するより、町中で自由に生きられるようサポートする。様々な問題を抱えながらも、野良猫と人が町で共存できる方法を探っている。

 

“ねコンテンツ”に一番鼻白んでしまうのは、それが猫の可愛さを安易に利用しているように見えた時だ。しかし本作は映画に猫を登場させているのではなく、イスタンブールのシンボルである野良猫の魅力を描くのに映画という手段を用いている。

本作において、猫は“手段”ではなく“目的”なのだ。

 

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『猫が教えてくれたこと』は、映画としては実にシンプルな作品だ。NHKで放送できるくらいの王道ドキュメンタリーである。

 

なのに79分間の上映が終わったあとは、まるで半日猫を撫で続けたかのような癒しを実感する。

おかげで、ルンバに乗る猫の動画を見ても「どうせ人間がのせたんでしょ」と鼻で笑うくらい偏見をこじらせていた私も、本作を観た後は「いいえ、猫が魅力的なのは事実なのよ」と素直に“ねコンテンツ”を楽しめるようになった。

 

猫映画はもうおなか一杯よ〜という方にこそ、ぜひ観てほしい1作だ。

 

 

 

neko-eiga.com

 

猫が教えてくれたこと

Kedi

監督・制作 ジェイダ・トルン

撮影監督・製作 チャーリー・ウッパーマン

キャスト イスタンブールの野良猫たち

作品詳細 アメリカ、2016年

 

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