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スペイン・サスペンスの帝王(だと思う)オリオル・パウロの魅力とは

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いわゆる「2時間サスペンス」と呼ばれるドラマのおもしろさが、子どもの頃は全くわからなかった。

同じような登場人物、同じようなストーリー、同じような展開、そして同じような結末…

「こんなもの誰がおもしろがって見るんだろう」なんて失礼なことを考えていた。

 

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まさにその“同じような”こそが、こうしたジャンルのドラマのおもしろさだと気づいたのは、大人になってから。

“同じような”は工夫がないということではなく、定番のスタイルを確立して「ハマる」ファンを掴んでいるということなんだとわかるようになった。

“同じような”クライマックスは、ファンにとって「ヨッ、待ってました」なのだ。

 

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さて、日本でサスペンスの帝王といえば船越英一郎だが、スペインのサスペンスの帝王(と私が個人的に睨んでいるの)は、オリオル・パウロだ。

 

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オリオル・パウロはスペインの映画監督・脚本家。作品の日本公開は映画祭やイベントでのことが多い。

ロスト・ボディ』(2012年、監督・脚本)は「シッチェス映画祭ファンタスティックセレクション2013」にて、『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(2016年、監督・脚本)は「シネ・エスパニョーラ2017」にて上映された。

また「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」で上映された『ボーイ・ミッシング』(2016年、脚本)は『消えた少年』のタイトルでNetflixで配信されている。

 

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つまり、少なくとも日本ではメジャーじゃない人である。にも関わらず、この人ほど「西サスペンスの帝王」の呼び名にふさわしい人はいないと思う。なぜなら彼もやはり、定番のスタイルを確立しているからだ。

オリオル・パウロが脚本に携わった3作品『ロスト・ボディ』『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』『消えた少年』をもとに、そのスタイルをご紹介しよう。
 

 

定番スタイル① 主人公はちょっといけ好かないセレブ

主人公は3作すべてセレブだ。それも普通のお金持ちじゃなく、例えば「経営者〇人」に選出されるような実業家や、大企業をいくつも所有する女傑の夫、資産数億の一流女弁護士など、“超”のつくエリート。なおかつ全員、ちょっといけ好かないところがある。

いわばキャラクター的なセレブなのだ。このわかりやすくキャラ立ちした主人公のおかげで、観客は冒頭からぐいっとストーリーに引き込まれる。

 

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定番スタイル② そのセレブがピンチに陥り右往左往する

大筋の展開も3作で共通する。主人公のセレブが予想しないトラブルによってピンチに陥り、右往左往するというものだ。かわいそう…と思いきや、発端のトラブルがそもそも身から出たサビだったりするので、あんまり気の毒でもない。

ピンチ自体も一筋縄のものではなく、密室殺人や死体消失などトリッキーな“謎”が軸にあるもので、サスペンス映画として非常に見ごたえ満点だ。

 

定番スタイル③ 敵対するのは一般市民

さらにストーリーを盛り上げてくれるのが、私利私欲や保身のために罪を犯す主人公に敵役として立ちはだかるメインキャストたち。

殺人課の刑事はじめ、郊外に暮らす老夫婦、職のない前科者など、みんな主人公のセレブに比べたら力のない一般市民とこちらも共通している。

「セレブvs市民」の構図は万国共通に大衆的だが、やっぱりおもしろい。

 

定番スタイル④ どんでん返しの結末

そして…オリオル・パウロ作品一番の魅力言えば、ラスト。3作すべて、どんでん返しが起こりあらゆる謎の答えが一気に明らかになる、文字通り「あっ」っと驚くラストが用意されている。

作中に散りばめられた伏線を残らず回収する丁寧さと、全ての謎をくるりとひっくり返すダイナミックさを合わせ持つ演出は、もう“爽快”の一言。ファンにとってオリオル作品ラストのどんでん返しは、2時間サスペンスの崖シーンに相当する「ヨッ、待ってました」だ。

 

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まとめ

こうしてみてみると、定番①~③はB級サスペンスの王道とも言えそうだ。なのにオリオル作品が“その他大勢”に紛れてしまわないのは、やはり定番④があるからだろう。

「王道×意表」の化学反応的なおもしろさ、そしてそのおもしろさを保証してくれるスタイルの安定性。これこそがオリオル作品の魅力であり、2時間サスペンスと同じく「ハマる人」を生み出す要因だ。

ハマるサスペンスが観たい人は、試しに1作手にとってみてほしい。

 

 

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