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正しい「愛のかたち」って何?映画『シェイプ・オブ・ウォーター』

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(映画公式サイト)

 

海から生まれた神秘的な生き物と、口のきけない女性の恋愛を描く映画『シェイプ・オブ・ウォーター 』。
おとぎ話のような世界観は照れくさくなるほどロマンチック。なのに大人だからこそわかる切なさが全編に漂い、観る人の心に響きます。
名匠ギレルモ・デル・トロ監督は“種族の壁を超えた愛の物語”で何を伝えようとしたのでしょうか?

  

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あらすじ

1962年、冷戦時代のアメリカ。一人平穏に暮らしていた口のきけない女性・イライザは、清掃員として勤務する研究所に運び込まれた不思議な生き物に、一目で心を奪われる。
人間とは似て非なる“彼”と、声を持たないイライザ。身振り手振りで交流をするうち、2人の間には恋愛に似た絆が生まれ始める。しかしソ連に脅威を感じる政府は、“彼”に非情な決断を下そうとしていた。
イライザは“彼”を研究所から助け出し、海に帰そうと決心する。

 

別種族で言葉も通じない…なぜ恋に落ちたの?

デル・トロ版『美女と野獣』とも言うべき本作『シェイプ・オブ・ウォーター 』。神秘的ながらモンスターのような風貌の“彼”と人間の女性が、種族の壁を超えて恋に落ちる…となると、おそらく「相手の内面をよく知った結果、外見に関わらず好きになった」というストーリーを想像するのではないでしょうか?

しかし『シェイプ・オブ・ウォーター 』の“彼”は人間と同じような意思疎通はできません。簡単なジェスチャーやアイコンタクト、音楽や映画への感動は理解できますが、言うなれば野生で育った狼少年。本能のまま猫を食い殺してしまったりもするほど、内面を把握することが難しい存在です。

“彼”がイライザに愛情を抱くようになったのは研究所でひどい扱いを受ける中で唯一優しくしてくれた人間だからと思われますが、イライザはなぜ“彼”に恋をしたのでしょうか?いくつか推測の材料になるセリフ(手話)はあるものの、その理由は作中で明確にされません。

代わりにストーリーの中で明らかになるのは、口がきけないという障害があることに加えて孤児院育ちで身寄りがない事情から、イライザが心の奥に深い孤独感を抱いていること。見知らぬ地に一人連れてこられて生死を他人に握られた状況の“彼”だけでなく、実はイライザも、弱く孤独な存在だったのです。

 

「愛とはこうあるべき」への痛烈な批判

苦しさを抱えた女性だから、同じように苦しんでいる人を好きになる…もしイライザが“彼”と恋に落ちた理由がそうだとしたら、なんともネガティブな恋愛です。「言葉も通じないし、おまけに不幸で引きつけられた絆だなんて、そんなのは愛とは呼べない」と感じる人もいるかもしれません。

なぜデル・トロ監督は“彼”をせめて内面は人間に近い存在にしたり、イライザを『美女と野獣』のヒロインのようなポジティブなお姫様にしたりしなかったのでしょうか?作中に監督が用意したとっておきの“アクセント”に、その答えの一端が現れていました。敵役の軍人・ストリックランドの理想的すぎる家庭です。

愛らしく快活な妻といい、2人の子どもやマイホームといい、その家庭はまるで60年代のポスターから抜け出たよう。明らかな意図を持って“典型”が強調されており、まさに「愛とはこうあるべき」という常識への痛烈な皮肉。愛の正しい在り方を世間が一方的に決めつけたり、押し付けたりすることへの批判が感じられます。

だとすると、先ほど上げた「なぜ…」は、本作において全く愚問でしょう。そもそもなぜ愛はポジティブじゃないといけないの?言葉が通じないといけないの?恋に落ちた理由は?って、なぜ誰かと誰かがお互いを愛おしいと思うのに理由がいるの?こうした「なぜ」こそ、本作の全編から伝わってくるメッセージです。

 

タイトル「水のかたち」に込められた意図とは

 観ている間はその世界観にただただ圧倒され、見終えた後にはその余韻で考えさせられたり気づかされたりする本作。
特にタイトル「水のかたち」には、全編を観てようやく実感できる深みがあります。

水にかたちがないように愛にもかたちはない。正解もないし理由もない。言葉にするとシンプルなこのメッセージを、本作は言葉ではない方法で伝えてくれます。

 

 

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