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友情、勝利、そして成長…ゾンビ映画『新感染』の既視感の正体は?

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なんだろう、この感覚・・・

すごく新しい印象なのに、どこかで、そう、どこかで見たことがある。

デジャブ?いいえ、思い出すのは少女の頃の、あの胸の高鳴り・・・

 

 

なんの話?そう、話はゾンビ映画新感染 ファイナル・エクスプレス』。

韓国発のサバイバル・パニック・ムービーです。

 

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(映画公式ホームページ)

 

カンヌ国際映画祭で入賞したとか、世界156ヵ国から買い付けオファーが殺到したとか、ハリウッドリメイク決定済みとか、ギレルモ・デル・トロが絶賛したとか・・・

あまりにも前評判が高すぎたため「ホントぉ〜?」と若干斜に構えて見始めたのですが、うわぁーおもしろかった!

 

どのくらいおもしろかったかというと【トンネルと少女の感動名シーン】にて、「大声出したらさっきピクって動いたゾンビに気づかれないの?w」と茶化しかけた自らを「それ今言う必要ある?」と冷ややかに突き放すくらい。

 

 

まずゾンビがすばらしく気持ち悪い。そして怖い。

 

最近のゾンビって足が速いのが主流ですよね?本作もそうで、ゾンビはめちゃくちゃ機敏。ところが死者の身体だからなのか、その動きは不自然にカクカクしています。

つまり動きにくそうにカクカクしながら凄まじい勢いで走るという、自然界ではまず見かけない生物なんです(生きてないけど)。

 

そいつらが飢えた暴徒と化し群れをなし「血!人肉ゥ!」と襲いかかってくるんだからたまりません。走れ!走れ!

 

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しかし本作の真骨頂は、ゾンビよりも人間ドラマ。

 

ここでちょっとあらすじを紹介すると、本作の主人公はエリートサラリーマンのソグ(コン・ユ)。別居中の妻の元へ娘を送り届けるべく、早朝の特急列車に乗り込みました。

乗り合わせたのはコワモテ男とその身重の妻、高校生の野球チーム、おばあちゃん姉妹、浮浪者っぽいおじさん、偉そうでイヤミおっさんなどなど多種多様な人々。

 

そして・・・ゾンビウィルスに感染した若い女性。

 

走り出した列車の中で発症し牙をむいた彼女から、密室空間での爆発的な感染がスタートします。1人噛まれてゾンビが2人、2人噛まれてゾンビが4人、4人噛まれて・・・のネズミ算で、車内は一気に地獄絵図。

未感染の人々は悲鳴をあげて逃げまどい、まだゾンビに侵されていない車両へ全力疾走で避難します。

 

ソグも娘を抱いて命からがら未感染の車両へ。ところがドアを閉めようとした時、通路の向こうに走ってくるコワモテ男と妊娠している女性の姿が。ソグは逡巡するもドアを閉めてしまいます。

しかし彼らの訴えを受けてドアを開け、2人が駆け込んだところで再び閉じ、間一髪でゾンビの侵入を防ぎました。

 

「俺たちを見捨てようとしたな」とつめよるコワモテ男に「みんなが危険だったからしかたなかった」と悪びれないソグ。

 

このシーンを皮切りに、ソグの本質的な人間性が明るみに出始めます。

お年寄りに席を譲ってあげる心優しい娘を「今は誰にも何も譲らなくていい」と小声で諌める。軍隊が待機するある駅に列車が停車し、乗客は保護ではなく隔離されるとの情報を得ると、コネを使って自分と娘だけ安全に避難できるよう手配。

 

そう、「自分さえよければ他人はどうでもいい」という価値観を、ソグは「常識」として持っていたんです。

 

これは・・・非常時においては間違っているとは言い切れないけど、人道的にはどうなんだ・・・うーん・・・。とりあえず「パパは自分のことしか考えてない。だからママは出て行ったんだね」との娘の意見に激しく同意。

 

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ところが駅で降車した人々を待っていたのは、ゾンビと化した隊員たち。

完全に不意をつかれた人々が命がけのUターンで列車に戻ろうとする阿鼻叫喚のなか、ソグの目に映ったのは、娘に今まさに飛びかからんとする1人のアーミーゾンビ・・・

顔面蒼白で娘の元へ駆け戻るソグ。しかしどう考えても間に合わない。うわぁぁぁっスアン(娘の名前)〜〜〜!!!

 

・・・とそこでアーミーゾンビが吹っ飛んだ!

やつに強烈なエルボーを食らわせ娘を救ってくれたのは、先ほどソグが当然の判断として見捨てかけたコワモテ男でした。

 

コワモテ男や野球少年たちは駅構内の仕切りドアから無事逃れた後も、ドアを封鎖しさっさと逃げるのではなく、ゾンビたちが迫ってくるなかドアを開けたまま、生存者にこちらへ避難するよう呼びかけます。

ソグは自身もゾンビに襲いかかられますが浮浪者風アジョシの上着ヘルプによって逃れ、なんとかドアまでたどり着き、彼らとともに安全(一応)な列車に転げこみました。

 

「他人は顧みない」を常識としている自分と「困った時は助け合う」を常識としている彼ら。この一連の出来事によって、ソグの心境に変化が生じます。成長と呼んだ方が適切かもしれません。その変化はこのあとのソグの行動に現れていきます。

 

初対面ではいがみあっていたコワモテ男との友情・・・主人公の成長・・・一致団結してゾンビ車両突破の勝利・・・あっこの既視感は、そう、ジャンプ。

 

このジャンプ的人間ドラマこそ、本作に単なる「優秀なゾンビ映画」以上の魅力を与えている要因です。古今東西を超えて人々が共感できるわかりやすさ。古典的だけど爽快、感動。

 

さらに、どんなに人に助けてもらっても心境に変化が生じず、ひたすら自分だけが助かろうとするイヤなキャラクターも登場するにいたっては思わず「わかってるぅ」と膝を打ちたくなります。

シルエットでも誰がどのキャラかわかりますからね、計算しつくされてますよこれは!「脚本が練り込まれてる」ってこういう作品を言うんじゃないでしょうか?

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韓国映画のレベルが高いことは周知の事実なので、本作の「映像作品」としてのレベルがハリウッド顔負けなことには、別に驚きません。今更そんな。

 

でもこのクオリティと規模のゾンビ大作で舞台がアジアって、多くの人が初めて目にするんじゃないでしょうか?少なくとも私は「ハイレベルのゾンビ大作×出演者がほぼ全員アジア人」の組み合わせに、“絵”としてすごく目新しい印象を受けました。

 

それでいてストーリーの根幹は、時代や国境を超えて誰もが共感できるジャンプ的古典。

見終えた後には「こりゃ全世界でヒットするわ」と納得でした。

 

普段アジア映画はあまり観ないという方や「ゾンビ映画はちょっと・・・」という方も、もしかつてジャンプっ子だったのならきっと楽しめるよ!とおすすめしたい一作です。

 

 

 

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