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女が男同士のラブラブにときめくのはなぜ?『君の名前で僕を呼んで』

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“美しすぎるゲイ映画”と熱い注目を集める『君の名前で僕を呼んで』が全国公開されています。

 

わたしは封切りから半月以上経って観に行ったのですが、場内は9割女性でほぼ満席、しかもエンドロールが終わりきるまで誰も席をたたないという。

そんな静かなる熱狂も本編を観れば納得しかなくて、とにかくもう主演2人が美しい!!!

特に17歳のエリオ少年。演じているのは奇跡の美青年、ティモシー・シャラメ。1995年生まれで実際には二十歳過ぎで180cm以上の長身、女の子とのツーショットでは普通に男らしく見えます。

ところが相方のオリヴァーと並ぶと、完璧に初々しいヒロインなんですよ!演じてるアーミー・ハマーが195cmもあるからなんですけど、それだけじゃなくて。

 

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エリオママ美魔女(映画公式サイトより)

 

本作は北イタリアの避暑地で出会ったエリオとオリヴァーのひと夏のラブストーリーなのですが、一体どんな映画かというと、映画評論家の町山智浩さんがすごく端的かつ的確にこう表現しています。

 

この2人がずーっとイタリアの美しい自然の中で、プールで遊んだり、日光浴をしたり、ピアノを弾いたり、芸術について語ったり、美味しいものを食べたりする映画です。(miyearnZZ Labo)

 

なんじゃそりゃって話なのですが、本当にこのまんま。

132分の上映時間のうち1時間半以上は、この2人の恋を出会いから接近、すれ違い、アタック、拒絶、ヤキモキ、ベッドイン、イチャイチャ、すれ違い、イチャイチャ、別れ、その後に至るまで、ただひたすら美しく麗しく描き出すのに費やされます。

 

そんなもん誰がおもしろがって観るの?と男性なら思うかもしれません。でも女性なら・・・観たいよね?この時点で観たいよね?

 

 

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それにしても、なぜ女は男同士のラブラブを見ると「ウヘヘ」と舌なめずりして喜ぶのでしょうか?

 

えっ?「そんなもの見て喜んでるのは、あんたみたいなモテないオバさんだけだろ」って???

なんてことを!そんな意見は、偏見以外の何モノでもないですよ。『君僕』に行ってごらんなさい、若くてカワイイ女の子たちがキャッキャ喜んで観てますから!

 

それにねぇ、あとねぇ・・・そう、『ガイコツ書店員 本田さん』っていう書店員さんが実体験を元に描いた漫画でも、若くてカワイイ外国人女子がBL漫画をウキウキ購入していたとの証言が記されているし、そういうのはモテないとかオバさんとか、関係ないの!!!OK?ふぅ・・・。

 

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感想(3件)

 

では改めて、なぜ女性は男性同士の愛の物語に胸をときめかせるのでしょうか?

これはもう本当に一言「自分が完全に傍観者でいられるから」に尽きると思います。

 

少女漫画などで主人公をサエない女の子にし読者が感情移入できるようにするのと真逆、「異性」の一線を引くことで根本的なところを完全に他人事にする。それによってストーリー(場合によってはエロ)を単純に楽しめるようにする。そういうことなんだと思うんです。

 

それは何も、男性同士なら「モテる女はイケメンとイチャつけていいわねぇ、チッ」と嫉妬しないですむから・・・だけじゃなく。

だって男性もモテるモテないに関わらず、美女同士がイチャイチャしてるの観たらウヒョーってなるじゃないですか。『フレンズ』でレイチェルとモニカがキスしてるの見て、ジョーイ喜んでたじゃないですか。ジョーイ、いい女いっぱい抱いてたのに!

 

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実際のところ、わたしは同じ理由で海外映画が好きです。

邦画をぜんぜん観ないのは「日本映画はダメだ」とか思っているわけじゃなく、舞台が日本で登場人物も日本人だと、自分のリアルな生活とダブってごちゃごちゃして、ストーリーを単純に楽しみにくいんです。

 

本作だって、エリオが男の子だからあのラストも「オリヴァー・・・なんでよ・・・」くらいですんでますが、これ、もしエリオが女の子だったら大変ですよ。ガチで感情移入した劇場中の女が総立ちして「オリヴァァァァッ!あんたって男はこの野郎!!!」ってなってますよ。ええ、間違いなく!

 

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「僕がどんなに幸せかわかるかい?」とか言ってたくせに……口だけ男!(映画公式サイトより)

 

 

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さて、わたしがBL風味の映画が好きなのはモテない女だからではないと力強く言い訳し終えたところで、最後に本作のメッセージについて考えてみたいと思います。

 

というのも本作、同性愛のラブストーリーながら『チョコレートドーナツ』などの作品とは異なり、差別とかタブーとかの描写はほぼゼロ

エリオのガールフレンドも彼の恋を理解してあげるし、エリオの両親も息子とオリヴァーがいい感じになってるのに気づきながら、2人を隣室に寝泊まりさせて、最後は2人きりで旅行までさせています。

もはや「いや、エリオの両親理解ありすぎだろ!?息子まだ17歳だぞ!?」と見えるかも。

 

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やっぱり美しいエリオママ(映画予告編より)

 

しかし、実はこれこそが本作の核心。

終盤、オリヴァーが去った後の家で、エリオの父は息子にある話をします。この話によって、両親がどんな気持ちでこうも2人に対し理解ある態度をとっていたのかが明らかに。

 

この父の言葉は、もはや若くないすべての人の心にグサッときます。

どんなグサかというと、その人の過去によって変わるグサ。過去が“あっち”の人にとっては自分を肯定してもらえたようなグサだろうし、過去が“こっち”の人にとっては心をえぐられるようなグサです。

 

いずれのグサにしてもすごく鮮烈で、ぜひ本編を観て味わってほしいのでネタバレしないように言うと「時計の針を戻すことは絶対にできない」これがエリオの父、そして本作からのメッセージです。

 

このメッセージって、ちょっと思い出そうとしただけでも、例えば太宰治が『葉桜と魔笛』で同じようなテーマを描いていたりするんですよ。こちらは舞台が明治40年くらいの日本で、主人公は異性愛者の病弱な美少女なのに。

でも別に意外じゃないんです。このメッセージをテーマにした物語って、たぶん探せば世界中にあると思います。

 

これってすごくおもしろいことじゃないでしょうか?

だって世界で十指に入る美男をキャスティングし同性愛をバァンと全面に出して、いっそ現実味がないほど美しく麗しい演出をしながら、そのメッセージは文化も時代も性別もノンケかゲイかも無関係に、地に足のついた人生の真理なんだもん。

 

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(映画公式サイトより)

 

 

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と、ネタバレしない程度の回りくどい話をこれ以上クドクドクドクド書いてもしょうがないので、もう未見の人は男も女もとりあえず観てくれというのがこの『君の名前で僕を呼んで』という映画です。

 

ただし「ゲイ映画なら傍観者気分で楽しめるだろう」なんて気持ちで劇場へ行くとグサリと火傷させられるので、お気をつけあれー!

 

 

 

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